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台湾の河川から麻酔薬検出、汚染魚流通の可能性も


ニュース 社会 作成日:2017年5月11日_記事番号:T00070501

台湾の河川から麻酔薬検出、汚染魚流通の可能性も

 大手ケーブルテレビ局、TVBSはこのほど、台湾全土の河川から麻酔薬として使用されるケタミンなど多くの種類の薬物が検出されたと報道。さらに大台北地区(台北市、新北市、基隆市)では、検出された薬物の濃度は医療機関に近い地点ほど高くなっていることが分かったほか、同地区を流れる基隆河の汚水処理場近くで釣られた魚が市場で販売され、市民の口に入っている可能性も指摘した。

 報道では、中山大学海洋事務研究所が基隆河や高雄市の愛河を含む全土の河川で水質調査を行ったところ、ほぼ全ての川の水から薬物が検出されたと指摘。また台湾大学環境工程学研究所(環工所)の調べでも河川から麻酔に使用されるモルヒネやケタミンなどの薬物が検出されたという。

 これを受けてTVBSの記者が環工所の林郁真教授に「検出された薬物の出処は病院ではないか」と質問したところ、同教授は「論文を調べると、大台北地区の医療機関が密集している地点ほど薬物の濃度が高いことが分かった」と指摘した。

 実際、台湾大学の調査によると、新北市のある病院の排出口の排水から検出されたケタミンの濃度は1リットル当たり1万ナノグラムと、河の流れから採取したサンプルの同200ナノグラムを大きく上回り、病院が河川の薬物汚染にとって最大の原因となっている状況がうかがえた。

 なおスペインやオランダの河川でもケタミンが検出されたことがあるそうだが、その濃度は台湾ほど高いものではなかったという。こうした状況に対し専門家は、「市民は過渡に恐れる必要はないが、監督機関が検査を強化すべき」と提言している。

 またTVBSの記者が基隆河の汚水処理場近くの釣り客にインタビューしたところ、同地点ではまるまると太ったティラピア(呉郭魚)がエサが不要なほどよく釣れるそうだ。ただ釣り人は皆、河が汚染されていることを熟知しており、釣った魚を持ち帰って食べる者はいないという。

 しかし記者が継続して調査を進めると、こうした釣り客が釣った魚を譲り受け、大きな発泡スチロールの箱に入れて運び出している人物がいることが発覚。この人物に話を聞くと「自分で食べるため」と答えたが、真偽のほどは不明だ。

 釣り人からは「河で釣った魚を市場で売っている者を見た」「薬膳料理にして匂いを消して客に出すらしい」といった声も聞かれる。

 魚に限らず、市場などで異常に安く売られている食材には手を出さない方が賢明のようだ。