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電動バイク発展に「充電式も必要」、業界が輸出競争力懸念


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2017年5月17日_記事番号:T00070578

電動バイク発展に「充電式も必要」、業界が輸出競争力懸念

 電動バイク最大手の睿能創意(Gogoro台湾)が主力とするバッテリー交換方式を、電動バイク市場の標準として推進する台湾政府の方針表明に対し、バイク最大手の光陽工業(KYMCO、キムコ)など非Gogoro陣営が15日、世界の主流である充電方式との同時推進を図るよう政府に陳情を行った。台湾は10年前、第4世代移動通信システム(4G)で当初WiMAX規格推進を選択したが、世界でLTEが主流となり、産業界が出遅れを強いられた苦い経験がある。17日付工商時報は、バッテリー交換方式の一辺倒では電動バイクの輸出競争力が削がれ、最大で年間1,000万台以上の世界市場で商機を逃すと警告した。

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 経済部は電動バイクの発展に向け、市場シェア首位のGogoroのバッテリー交換方式を標準規格とし、大部分のリソースを投入する方針を示しており、充電方式を採用しているGogoro以外のメーカーが一斉に反発している。

 台湾区車両公会機車製造委員会の主任委員でもある柯俊斌KYMCO執行長らは経済部工業局を訪問し、業界に何の相談もなく、バッテリー交換方式の推進方針を決めたことに対し不満を表明した。

 ある業者は、台湾メーカーは今後の輸出も視野に、国際的に採用されている充電方式でなければ、世界で不利になると訴えた。別の業者は、どちらか一方に偏ると先行メリットが得られないので、充電方式とバッテリー交換方式を同時に推進した方がよいと主張した。台湾の大部分のメーカーは充電方式を採用しているため、公平性を確保すべきとも述べた。いずれにせよ、Gogoroという特定メーカーを標準規格にするのでなく、業界とよく話し合って決めるべきだと訴えた。

 経済部工業局の呂正華・代理局長は、業界の意見を理解したので、林全行政院長に報告すると回答した。

充電スタンド不足が課題

 一方、Gogoroは、バッテリー交換方式の方が台湾に合っていると反論した。

 Gogoroは、充電方式ならフル充電まで数十分~数時間かかるが、バッテリー交換方式なら数秒で可能と説明。充電方式には急速充電という手もあるが、バッテリーが高額となる一方、バッテリー交換方式ならメーカー側がビックデータを基にバッテリーの寿命延長を考えるので、消費者の負担が抑えられると主張した。さらに、台湾は狭く、長時間バイクを停車できる充電スタンドを数多く設置するのは物理的に困難だと指摘した。

 Gogoroは、もし政府がGogoroを標準規格に選択すれば、Gogoroは業界に対し、長年の研究開発(R&D)で得た知識を共有するので安心してほしいと呼び掛けた。

ガラパゴス化の恐れも

 台湾での電動バイクの2016年販売台数は2万915台で、Gogoroが市場シェア60.4%、中華汽車工業(チャイナ・モーター、CMC)がシェア24.4%だった。今年の販売予測は3万6,000台で、Gogoroがシェア80%を握る見通しだ。

 工商時報は、台湾のバイク市場は年間60万~80万台にすぎないので、ガソリン式バイク全てを電動バイクに買い替えたとしても限界があると指摘。台湾のバイク業界は内需だけでなく、世界に目を向けなければ未来はないと提言した。

【図】