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ノートPC受託各社、部品高騰に苦慮


ニュース 電子 作成日:2008年4月28日_記事番号:T00007070

ノートPC受託各社、部品高騰に苦慮

 
 ノートパソコン(ノートPC)の部品価格が原材料価格の高騰により上昇し、受託生産メーカーの利益を圧迫している。各メーカーは部品の調達価格を抑制するため、部品メーカーを買収するなど垂直統合を強化している。28日付工商時報などが報じた。

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キーボード12%の値上げ

 第1四半期末時点で、供給不足のバッテリーセルの値上げ幅は5~8%に上った。市場調査機関IDCの調査によると、現在の部品メーカーによるオファー価格の上昇幅は、キーボートが最高の12%のほか、▽インバーター、5%▽プリント基板(PCB)、3%──となっている。

 これらの部品は受託生産メーカーが調達を行うため、発注元のブランドメーカーが調達するパネル、CPU(中央演算処理装置)、記憶装置と異なり、直接受託生産メーカーの利益に影響する。このため、受託生産メーカーが発注元に対し、受注料金の値上げ交渉を行う動きも出ているようだ。あるアナリストは、上昇したコスト分は、両者が折半することになるという予測を述べている。

EMSには有利?

 部品価格上昇に対応するため、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)がフレームメーカーの買収に乗り出しているほか、緯創資通(ウィストロン)も先日、フレームメーカーなどの統合を拡大すると発表。英業達(インベンテック)は、戦略提携の形で垂直統合を進めることで対応する考えだ。

 一方、高度な部品のサプライチェーンを確立しているEMS(電子機器受託生産サービス)は、この機会に毎年2割の成長が見込めるノートPC市場での展開を強化したい考えだ。鴻海精密工業は既に、ソニーとアップルからノートPC組み立てを受注した。

簡易型PCの人気、マイナス要因に

 受託生産メーカーの利益確保のためには、ノートPC販売価格の値上げが鍵となる。しかし、エイサーのジャンフランコ・ランチ総経理は、今年の平均販売価格は5~10%下落するとみている。

 華碩電脳(ASUS)のEee PCをはじめとした簡易パソコンの人気により、従来型のノートPCの市場が大きく浸食される恐れも、アナリストより指摘されている。

 販売価格の上昇が望めないのであれば、調達規模を拡大して単価を下げるか、垂直統合をさらに強化する以外にないと工商時報は指摘している。