ニュース 電子 作成日:2017年5月26日_記事番号:T00070769
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は25日に開催した年次技術フォーラムで、今年のアップルのスマートフォン「iPhone8」はホームボタンがなくなり、ディスプレイ画面上で指紋認証が可能になるなど、機能性が大きく向上すると説明した。TSMCが公の場で顧客アップルの製品情報を明かしたのは初めて。サプライヤーは、TSMCはiPhone8に搭載する新型プロセッサー「A11」の受注を独占しており、アップルとの関係が緊密だと世界にアピールすることが狙いと分析した。ファウンドリー事業部を新設し、追い上げを図るサムスン電子との差を見せ付けた格好だ。26日付経済日報などが報じた。
魏哲家TSMC総経理兼共同執行長は、今年の設備投資は100億米ドルに達すると語った(25日=中央社)
TSMCによると、10周年モデルとなるiPhone8は有機EL(OLED)ディスプレイを採用。ディスプレイへの指紋認証センサー「タッチID」埋め込みにより、画面上で指紋認証が可能になる。この技術は現時点でサムスン電子なども追随できないという。
このほか、ディスプレイのアスペクト比(画面比率)が16:9から18.5:9に変更される。サムスンがスマホ新機種(ギャラクシーS8/S8プラス)で18.5:9を導入したことで、アップル以外のブランドも追随を予定している。
また、赤外線センサーを搭載してカメラの性能を向上、顔認証を導入してモバイル決済の認証方法を充実させる。ワイヤレス充電も可能になる。ボディーは曲面ガラス(3Dガラス)筐体を採用する。
TSMCは、顧客が迅速に製品を発売し、商機を取得できるよう支援する「タイムtoマーケット」と「タイムtoマネー」の「TTM」を目指すと表明した。
iPhone8出荷、3カ月遅延か
一方、「A11」の試作がいまだ完成していないこと、および有機ELパネル版への「タッチID」搭載がボトルネックで、iPhone8は量産が3カ月遅れ、10月末~11月まで出荷がずれ込むなどアナリストから遅延予測が相次いでいる。
中華圏専門のリサーチ会社、JLウォーレンキャピタルによると、台湾のサプライヤーの情報では、3回目の「A11」試作も合格ラインに届かなかった。今週もう一度試作に挑み、その結果が6月の2週目に判明する。この情報から、6月上旬の「A11」量産開始予定が再度、延期されたことが分かる。サプライヤーの予測として、TSMCは6月10日に「A11」の生産を開始し、7月下旬に量産、出荷すると経済日報が今月上旬に報じていた。
ただ、証券会社は、TSMCの量産は例年6~7月のため、試作が合格していないからといって、iPhone8の出荷が遅れると判断するのは時期尚早と指摘した。
米コーウェン・グループのティモシー・アルクリ・アナリストは24日、サプライヤーが有機ELディスプレイへのタッチID埋め込みを実現できていないことを理由に、有機ELパネル搭載iPhone8の量産が従来計画していた7月末~8月から、10月末~11月まで延期されるとの予測を示している。
これまでにも、アップル製品の動向把握で定評のある凱基証券(KGI)の郭明錤アナリストが、生産の難易度が大幅に高まり、有機ELパネル搭載版が1~2カ月遅れると予測。モルガン・スタンレー証券は、アップルのサプライチェーンから今秋発表する兆しが感じられないと指摘した。ドイツ銀行は、部品の供給不足、生産技術の難易度の高さから、iPhone8発表は来年初めなる恐れがあるとしている。
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