ニュース 社会 作成日:2017年6月5日_記事番号:T00070921
ここ数日、台湾各地で発生した集中豪雨により、台湾鉄路(台鉄)の複数の路線で落石などの被害が発生、復旧が急がれる中、線路や車体の点検・修理を担う保安作業員の重要性がクローズアップされている。しかし、台鉄の保安要員は過去10年で約3割も減少しており、今後、故障リスクが増大するとの懸念が浮上している。
台鉄の人材不足で、故障時の復旧が遅れれば、市民の足への影響は必至だ(4日=中央社)
台鉄工務処の統計によると、台湾北部および中部で3駅分の線路の保守点検を担当する作業チーム1班の人数は2008年の12~15人から現在は6~8人に減少しており、1人当たりの負担が増大している。
現場の作業員によると、線路の修理作業は通常夜間に行われる上、人手が足りないにもかかわらず、短時間での作業完了を求められるため、労働条件は非常に厳しいものになるという。
しかし台鉄は公営鉄道のため、これら作業員は公務員で、初任給は3万台湾元余りにとどまる。このため人材採用が難しいにもかかわらず離職率は高く、現在21~30歳の若手作業員が全体に占める比率は、8~13%と低く、ベテラン職員から次世代への技術と経験の伝承に断絶が起きると懸念する声も上がっている。
また土木工事を手掛ける作業員だけでなく、電気系統の点検・修理を担当する保安要員も、人数自体は過去10年で大きな変化はないが、花東線や屏東線(高雄~枋寮)屏東~潮州区間の電化になどにより業務量は大幅に増え、人手不足が深刻化している。またこちらも作業員全体に占める21~30歳の比率は13.8%と低く、経験の伝承に問題を抱えている。
こうした状況に対し専門家は、線路や電気系統の点検・保守業務における人手不足はミスの増加につながり、信号やケーブルの故障による運行の遅れ、さらには点検が不十分となることで線路の問題点が見過ごされ、脱線などの大事故を引き起こす可能性もあると警告している。
また別の専門家は、台鉄電気系統の保安要員は一般の電気工に比べ危険性の高い業務を行っているにもかかわらず、低賃金となっていると指摘。若い人材を引き付けるには民営化を加速させ、柔軟な給与体系を導入する必要があると提言している。
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