ニュース 社会 作成日:2017年6月7日_記事番号:T00070971
台湾では信仰心の厚さからか、数珠を手首などに付けている人を見かけることが多いが、中でも高級品とされる「沈香(じんこう)」で作られた数珠の最高級品を340万台湾元という高額でまとめ買いした女性が、1年半後に「偽物をつかまされた」と主張して売り手を訴えた。しかし彼女自身がこの数珠の一部を最低落札価格296万元でオークションに出していたことが発覚。結局、裁判所は彼女の主張に合理性はないと判断し、訴えを退けた。
沈香とは東南アジアに生息する沈香木という植物のうち、樹脂が分泌、蓄積された部分を削り取ったもので、熱を加えると独特の香りを放つことから仏像や数珠の材料として重宝されてきた。特に主にベトナム産の沈香木を使用した樹脂分の凝集度が高い沈香は「伽羅(きゃら)」と呼ばれ、1グラム25万~40万元という高額で取引されているという。
商売でたびたび中国を訪れるというこの女性は、旅先で「悪いもの」にとりつかれることを懸念し、魔除けの効果があるとされる沈香を試しに身につけてみることにした。その結果、効果があったように感じた彼女は2014年9月、ある男性から、伽羅と同等の価値があり、魔除け効果も高いとの説明を受け、「馬拉OK」と呼ばれるインドネシア産の沈香を使った数珠を340万元でまとめ買いした。
その際、売り手の男性は、これが天然ものであり、油分や香りを人工的に加えたものではないと保証したという。しかしその後、証明書がほしいという女性の要求に応じなかったことから彼女は疑念を抱き、15年10月になって購入した数珠で加熱実験を行ったところ、黒い油が流れ出てきたため偽物と判断。返金を求めて男性を訴えた。
しかし男性は、「女性は沈香の収集家で何度も取引の経験があり、商品には通常、証明書や保証がつかないことは知っていたはずだ」と指摘した上で、「1年半も経過した後に偽物だと主張されても、それが本当に自分が売ったものか疑問だ」と反論した。
さらに裁判の過程で原告女性は、男性から購入した数珠のうち2つを香港のオークション業者を通じ、296万元という最低落札価格で売りに出していたことが発覚。オークションに出すにはまず専門家の鑑定を受けるため、この数珠が偽物とは考えにくいことが分かった。
その結果、裁判所は女性の訴えを却下することとなった。ちなみに鑑定人によると、沈香の証明書を発行する機関は存在しないというから、素人が手を出せる代物ではなさそうだ。
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