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新光三越、イデーの事業権獲得


ニュース 商業・サービス 作成日:2008年4月29日_記事番号:T00007098

新光三越、イデーの事業権獲得

 
 中堅百貨店、衣蝶百貨(イデー)の事業譲渡入札で、最大手の新光三越が単独で応札し、7億500万台湾元(約24億2,000万円)で落札した。新光三越はイデーの店舗を加えて勢力を広げ、業界第2位の太平洋そごうを引き離して、今年予定される株式公開に弾みを付けたい考えとみられる。29日付経済日報などが報じた。
 
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 イデーの売却入札は、力覇集団の経営破たんに伴って進められてきた。これまで、イデーの経営には数社が興味を持っていると伝えられていたが、新光三越の名前は一度も挙がっておらず、同社による落札は業界で驚きを持って迎えられた。

 新光三越は今回の落札によって、イデーの台北本館、IDEE-S館、桃園館、嘉義館の事業権を獲得し、イデーの既存従業員の雇用も引き継ぐ。これにより新光三越が域内に保有する百貨店数は、現在の13店舗から17店舗に増え、年間売上高も600億元余りから650億~660億元まで増えるとみられる。

南西商圏への影響を懸念
 
 イデー4館のうち最も業績が良いのは、新光三越南西館(台北市南京西路)のほぼ向かい側に位置する台北本館で、この2店舗は長年業績を競ってきた。イデー台北本館は新光三越に対抗するため、自社ブランド開発とファッションブランドの代理販売の両面に注力する戦略で、流行に敏感な若い女性の人気を呼んでいる。資金繰りで苦境に立たされていたイデーは、もしこのまま買い手が現れなければ、同店舗も閉鎖に追い込まれる危機に陥っていた。

 新光三越は、「イデーは長らく百貨店業界で確固たる地位を築いている。入札参加を決めたのは、南西商圏からイデーが撤退すれば、同エリアの発展に影響が出ることを懸念したためだ」としている。

 域内での展開に消極的とされてきた新光三越が、総統選後に方針を一変させ、イデーの事業権獲得を通じて店舗数拡大に乗り出したことについて経済日報は、「同社が域内小売業の先行きを好感していることを示すもの」と分析している。

イデー商標、使用は保留
 
 イデーの売却入札は、昨年11月、新光集団傘下の新光合成繊維(新繊)が7億500万元で応札したが、落札予定価格の18億元を大きく下回ったため不成立となった。その後力覇は董事会を開き、落札予定価格をまさに7億500万元まで下げたことから、市場では、新繊の入札は新光三越による事業権獲得に向けた布石だったとの見方が強まっている。

 力覇集団は、2回目の入札実施日を今年3月21日に予定していたが、2度延期されてようやく実現した。延期の理由について経済日報では、債権者の兆豊銀行、中国信託商業銀行(CTB)、慶豊銀行、合作金庫銀行によるイデーの商標の仮差し押え申請、および賃貸料の高さに入札意欲を示した企業が難色を示したためと伝えている。新光三越は、今後イデーの商標を使用するかどうかについて、「検討する必要がある」と答えている。