ニュース 電子 作成日:2017年6月13日_記事番号:T00071055
韓国メディアの報道によると、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が7ナノメートル製造プロセスで、サムスン電子を制して米クアルコムの受注獲得に成功した。同チップは年末にもリリース予定だ。先月ファウンドリー事業部の設立を発表するなど同業の務拡大を狙うサムスンだが、7ナノプロセス開発の遅れが足を引っ張り、TSMCに阻止された格好だ。13日付経済日報などが報じた。
張忠謀(モリス・チャン)董事長は先週の株主総会で、TSMCは技術、生産、顧客の信頼で優位性があると、サムスンに対する自信を示していた(中央社)
TSMCは12日、特定の顧客についてはコメントできないと表明した。ただ10ナノプロセスは量産中、7ナノプロセスは6月末に試験生産、来年量産する予定だと説明した。
TSMCはクアルコムと長年提携関係にあるが、2年前14ナノプロセスの受注をサムスンに奪われた。韓国の毎日経済新聞によると、10ナノプロセスもサムスンが受注したため、TSMCは7ナノプロセス開発を急ぎ、受注奪取に成功した。
TSMCはクアルコムだけでなく、アップルのスマートフォンiPhone7搭載のプロセッサー「A10」を全て受託生産し、今年下半期に発売とみられる次世代iPhone8用プロセッサー「A11」も独占するなど、サムスンに対し優勢に立っている。
一方サムスンは、ファウンドリー事業の売上高50億韓国ウォン(約4億9,000万円)のうち、クアルコムの10ナノプロセス受注が約4割を占める。このためクアルコムの受注流出は大きな痛手だ。敗因は、7ナノプロセス開発の遅れ、パッケージング(封止)など技術力の弱さと指摘されている。
サムスンは10ナノプロセスのアップグレードで8ナノプロセスを進めているが、極端紫外線(EUV)露光装置を全面採用する7ナノプロセスは今年7月にベータ版をリリースし、2019~20年に量産する計画で、TSMCに1~2年の遅れを取っている。
また業界関係者は、TSMCの先進技術はアップルのモバイル端末の薄型軽量化に貢献しているが、サムスンにそうした技術はないと指摘した。
生産能力待ち
市場調査機関の拓ボク産業研究所(ボクはつちへんに僕のつくり)の姚嘉洋・半導体産業アナリストは、クアルコムからの受注は良品率の期待に応えている証拠と考えられるが、TSMCの生産能力で同時にアップル、クアルコムなど2社以上に対応できるかは要観察だと述べた。
7ナノプロセスの主な顧客とみられるのは▽アップル▽クアルコム▽アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)▽ザイリンクス▽聯発科技(メディアテック)▽海信集団(ハイセンスグループ)▽エヌビディア──。
TSMCは7ナノプロセスで既にモバイル端末向けチップ12製品をテープアウト(設計完了)しており、6月中に高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)チップがテープアウトする予定だ。
TSMCの劉徳音・共同執行長兼総経理はこれまでに、7ナノプロセスは30社以上から予約があり、データセンターや人工知能(AI)、自動運転など次世代ハイテクを担うと話している。
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