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パワーチップ、NOR型フラッシュ生産再開へ


ニュース 電子 作成日:2017年6月20日_記事番号:T00071184

パワーチップ、NOR型フラッシュ生産再開へ

 ファウンドリー大手、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)は19日、NOR型フラッシュメモリーの生産再開を表明した。NOR型はスマートフォンの有機EL(OLED)パネルやIoT(モノのインターネット)対応のスマート家電向けの需要拡大で供給が逼迫(ひっぱく)している。NOR型生産の同業、旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル)、華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)も増産によって商機に対応する。20日付経済日報が報じた。

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 パワーチップの黄崇仁執行長は、中国・安徽省合肥市の合弁子会社、合肥晶合集成電路の12インチウエハー工場が下半期に完成、量産を開始する見通しで、その段階で台湾から液晶ディスプレイ用ドライバICの生産を移転し、空いたラインでNOR型を生産すると説明した。月産能力は最大で2万4,000枚だが、具体的にどの程度を投入するのかは明らかにしなかった。既にメモリ設計業者から生産を請け負うことで準備の協力を行っているとして、市場への短期間での再参入に自信を示した。

 パワーチップはかつて台湾のDRAM最大手メーカーで、NOR型フラッシュメモリーも生産していたものの数年前に中止。ここ数年はファウンドリーへと事業を転換し、▽液晶ドライバIC▽コンタクトイメージセンサー(CIS)チップ▽電源管理IC──などロジックICの他、DRAMやNAND型フラッシュメモリーを生産している。

需給バランスの行方、見方分かれる

 NOR型の需要増について、マクロニクスの盧志遠総経理は、スマートフォンの有機ELパネルの画質調整という新たな役割、およびスマートカー、スマート冷蔵庫、スマート洗濯機などでユーザーの出す指示を記憶する役割を果たすため、これら機器向けに需要が伸び続けていると説明した。

 マクロニクスは現在NOR型で世界最大手で、1カ月当たりの出荷は2億個以上。同社は今後NOR型生産で、12インチウエハーの月産能力を2万4,000枚と、従来の2万枚から引き上げる他、0.11マイクロメートル製造プロセスの12インチウエハーから、75ナノプロセス8インチウエハーに切り替えて生産量を倍増させる方針だ。

 ウィンボンドは現在月産能力4万4,000枚で、4割をフラッシュメモリー、残りを特殊用途DRAMに充てている。年末には4万8,000枚、2018年には5万2,000~5万3,000枚、19年には5万6,000枚へと生産能力を増強する計画だ。なお、焦佑鈞同社董事長は、生産能力の増強により来年の半ばには需給バランスが改善するとの予想を示した。一方マクロニクスの盧総経理は、2社が増産しても需要に対応できないと指摘し、需給逼迫は解消されないとの見方を示した。

次世代メモリー、10年必要

 ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が年末にも試験生産を行うと発表するなど、次世代メモリーに注目が集まる中、盧総経理は次世代メモリーが主流になるにはまだ10年が必要と指摘した。

 盧総経理は、次世代メモリーには現在▽磁気抵抗メモリー(MRAM)▽相変化メモリー(PCRAM)▽抵抗変化型メモリー(ReRAM)──などの規格があるが、MRAMがDRAMに取って代わることに期待が寄せられていると説明した。

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