ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

ユニテック労災4人死亡、アップルサプライチェーンから除外も


ニュース 電子 作成日:2017年6月27日_記事番号:T00071321

ユニテック労災4人死亡、アップルサプライチェーンから除外も

 プリント基板(PCB)大手、燿華電子(ユニテック・プリンテッド・サーキット・ボード)の宜蘭工場(蘇澳鎮)で26日午前、化学液廃水槽の清掃作業に関連して従業員の男性4人が死亡、2人が負傷する事故が起きた。同社はアップルのサプライヤーだが、アップルは取引先に労働環境など厳しい水準を要求するため、来年以降サプライチェーンから除外されるとの観測が浮上している。27日付蘋果日報などが報じた。

/date/2017/06/27/00PCB_2.jpgユニテックは2年前にも土城工場で火災が起きるなどトラブルの多い企業で、従業員の家族から不安の声が聞かれていた(26日=中央社)

 労働部によると、宜蘭工場の排水槽は深さ4メートル、奥行き1.5メートル、幅0.7メートルで、26日午前、底にたまった汚泥の定期清掃のために、26歳のエンジニアの男性が排水槽に入ったところ、高濃度の硫化水素を吸い込み、意識を失って底に転落した。その約10分後、これに気付いた別のエンジニアが上司に報告。報告を受けた上司2人を含め3人が救出のため排水槽に入ったものの、1人目と同様に硫化水素を吸い込んで意識を失い、3人とも転落した。

 その後、廃水槽付近に人がいないのを不審に思った管制室が救急に通報。救急隊員の到着を待っていたが、別の作業員2人が転落した従業員の救助に向かい、1人は意識を失って廃水槽に転落、もう1人は有毒ガスを吸って負傷した。病院に搬送された6人のうち、最初に排水槽に転落した4人は死亡が確認され、救急通報後に転落した1人は意識不明の重体となっている。

安全手順守らず

 排水槽の清掃に当たっては、換気や硫化水素の測定を行った後、2人1組で防護服や救命ロープを身に付けて行うといった作業手順が労働部によって定められているが、同工場で亡くなった4人はいずれも守っていなかった。このため、会社側が安全に関する周知を徹底していなかった疑いが浮上している。

 労働部は同日、ユニテックに対し同工場の操業停止命令を下すとともに、同社に対し職業安全衛生法違反によって罰金30万台湾元(約110万円)を科し、さらに同社責任者に刑事責任を問う考えも示した。

 ユニテックは事故について、被害に遭った従業員とその遺族に対し哀悼の意を示すとともに、見舞金を提供した。

今後の受注に悪影響

 同工場の操業停止についてユニテックは、7月は3~5%減収になると予測。土城工場(新北市)で計画していた生産ライン増強を早めることで対応する方針を示した。同社はアップルのサプライヤーで、スマートフォン「iPhone」、ノートパソコン「MacBook(マックブック)」、タブレット端末「iPad」に製品を供給しているが、宜蘭工場が停止しても今年アップルが発売するスマホ「iPhone8」へのPCB供給に影響はなさそうだ。

 一方で業界関係者は、アップルはサプライヤーに対し労働環境など厳しい水準を要求するため、来年以降、サプライチェーンから除外される恐れがあると指摘した。

 またサプライチェーンからの除外には至らなくても、宜蘭工場の操業停止によって出荷量が不安定となれば、来年以降、受注減に見舞われる恐れがある。このため、台湾の同業メーカーの▽景碩科技(キンサス・インターコネクト・テクノロジー)▽臻鼎科技控股(ZDT)▽華通電脳(コンペック・マニュファクチャリング)▽欣興電子(ユニマイクロン)──などに受注が流れる可能性がある。

 ユニテックの27日株価終値は10.55元と前日比3.65%の下落で、事故が起きた昨日から2日連続での大幅安となった。