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パワーチップ、合肥12インチ工場が完成


ニュース 電子 作成日:2017年6月29日_記事番号:T00071377

パワーチップ、合肥12インチ工場が完成

 ファウンドリー大手、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)は28日、中国・安徽省合肥市政府との合弁によるファウンドリー「合肥晶合集成電路(ネクスチップ・セミコンダクター)」の12インチウエハー工場の完成式典を迎えた。初期は京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)向けに液晶ディスプレイ用ドライバICの生産を手掛け、今年末に量産に入る予定だ。パワーチップにとって10年ぶりの新工場で、将来は需要が高まるNOR型フラッシュメモリーも生産する可能性がある。29日付工商時報などが報じた。

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 合肥晶合の持ち株比率は、合肥市政府が50%、パワーチップが43%。第1期の投資総額は128億人民元(約2,100億円)で、今後、合肥市に4基の12インチウエハー工場を設置する計画だ。

 第1期のN1工場はこの6月に3,000~5,000枚規模の試験生産を行っており、来年第2四半期には月産能力を1万枚、2019年には4万枚、20年には8万枚まで増やす。初期段階は0.15/0.11マイクロメートル、90ナノメートル製造プロセスで、主に液晶ディスプレイ用ドライバICを生産。当初は生産能力のほぼ全てをBOEからの受託に充てる。

メモリー移転「現時点ではない」

 人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の発展でフラッシュメモリー需要が高まっており、パワーチップがメモリー生産を中国に移転するか否かに注目されるが、同社は今のところ考えていないと回答。黄崇仁(フランク・ホアン)執行長は、台湾から液晶ドライバICの生産を合肥晶合に移転し、空いたラインでNOR型フラッシュを生産すると説明しており、当面は中国でのメモリー生産はなさそうだ。

 ただ、電子時報は台湾工場のNOR型フラッシュの生産が満杯になれば、合肥晶合での生産もあると予想。工商時報も同社のフラッシュ技術は自社開発のため、合肥晶合への技術移転に障壁はないとして、生産移転の可能性を指摘した。

 一方、DRAMは、米マイクロン・テクノロジーから技術移転を受けておりパワーチップ独自の技術ではない上、マイクロン、サムスン電子、SKハイニックスの3大メモリーメーカーが価格下落を恐れ増産に慎重なことから、合肥晶合集成での生産の可能性はほぼゼロとみられる。

DRAM生産設備を買い戻し

 台湾での生産拡充について黄執行長は、深刻な経営不振に陥った際にキングストン・テクノロジーに1億米ドルで売却した月産能力2万枚のDRAM生産設備を第3四半期に買い戻すと明かした。

 また今後、業績が改善すれば、8インチウエハー工場の子会社、鉅晶科技(マックスチップ・エレクトロニクス)を吸収合併した上で、株式市場への再上場を目指す考えも示した。さらに、生体認証やサーバー、AI、クラウドコンピューティングなど向けの商機が大きく伸びているとして、再上場を果たした後に新たに12インチ工場を設置する考えも示唆した。

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