ニュース その他分野 作成日:2017年6月30日_記事番号:T00071402
労働部は29日、7月より開始する一例一休(週休2日制)の労働検査(立入検査)について事前指導を行い、違反を処罰するかは地方政府の判断に委ねるとの方針を説明した。長時間労働や違反リスクが高い5,000社や、派遣労働など社会への影響が大きい770社を当面の検査対象とする。林美珠労働部長は労働基準法(労基法)再改正の計画は当面ないと強調した。地方政府や産業界の批判がやまない中、蔡英文政権が「世界で最も進歩的」と自賛する法律を、最も慎重に執行せざるを得ない状況だ。30日付工商時報などが報じた。
林労働部長は「教えずして殺す、これを虐という」という論語の一説を挙げつつ、目的は処罰でなくあくまで改善にあると強調した(29日=中央社)
労働部の発表によると、当面の検査対象は4種類。第1類が過去3年の平均労働時間が長い、違反のリスクが高い「クラス別検査」で警備、医療、電子部品、旅客輸送など5,000社。第2類は労働者の権益侵害が深刻、幅広い影響がある「プロジェクト検査」で、学生アルバイト、派遣労働、旅客輸送など770社を対象とする。
林労働部長は、まず指導して改善の期間(原則1カ月)を与え、それから検査を実施すると説明した。検査の結果、違反があれば原則処罰するが、地方政府の裁量に任せると語った。処罰した後も引き続き指導し、改善を支援する。
ただし、メディアに報道され社会の関心が高い、または重大な違反の第3類「特定案件検査」と、労働者が当局に申告・相談した第4類「通報案件」の場合、即刻検査を実施する。
公聴会3回予定
一例一休関連の労基法を再改正すると29日報道されたことに対し林労働部長は、現時点で法改正の計画はないと述べた。労使双方など各界の意見を聞くため、予定通り公聴会を7月中旬に3回、8月に2回開催すると話した。
労働部は第1四半期を周知期間、第2四半期を指導期間と位置付け、6月27日までに立ち入り指導を延べ1万8,531回行ったほか、団体指導を135回開催し、企業7,656社が参加、2万7,245社の改善を支援した。
経済日報によると、世界で週休2日制を法制化しているのは13カ国・地域だけで、発展途上国が多く、休日出勤の条件も台湾ほど厳しくない。
処罰の統一基準なく
一例一休の労働検査は、運用上の問題などから台北市など6県市しか協力を表明していなかったが、労働部が29日、各県市政府の責任者を集めて説得した。ただ、新北市政府労工局の謝政達局長は、労働部の検査計画は従来と何ら変わらないと指摘。処罰の統一基準制定を求めたが労働部から回答がないと不満を表明した。独自の条例制定によって一例一休に弾力的に対応する構想を示していた林明溱南投県長も、労基法を再改正しない限り、根本的な問題解決にならないと批判した。
中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、立法委員10~20人が法改正の提案を準備しており、労働部は勇気がないようだが、立法院は勇気を出し、改正すべきは改正してほしいと語った。中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、一例一休問題は長引くほど企業のダメージが大きくなると改めて批判した。
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