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マイクロン桃園工場が稼働停止、DRAM逼迫に拍車


ニュース 電子 作成日:2017年7月6日_記事番号:T00071511

マイクロン桃園工場が稼働停止、DRAM逼迫に拍車

 米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーの桃園市亀山区の12インチウエハー工場「N2」で窒素ガス漏えい事故が起き、ウエハー6万枚の処分を余儀なくされたことが分かった。同工場では100台以上のDRAM生産設備が停止し、これにより世界市場へのDRAM供給が5.5%減少する見込みで、需給逼迫(ひっぱく)がさらに深刻化するとみられる。事故を受けて市場ではDRAM価格が上昇しており、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)、威剛科技(Aデータ・テクノロジー)などが恩恵を受けそうだ。6日付経済日報などが報じた。

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 マイクロンは6日、N2工場で些細なシステム異常が発生したが、既に解決し正常に稼働していると説明。窒素ガスが外部に漏れたような事故は発生していないと報道を否定した。

 一方で業界関係者は、1日に同工場で窒素ガスが漏れ、従業員が避難するほどの深刻な事故が発生したことは間違いないと指摘。5日から一部で稼働を再開したが全面復旧には至っておらず、マイクロンの発表と実情には大きな差があると話した。

 生産設備業者は稼働再開時期について、高純度窒素ガス生成機器や生産設備の点検・修理が必須で、短期間での再開は難しいとの見方を示した。

DRAM価格が上昇

 市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)によると、N2工場の月産能力は12インチウエハー6万枚で、世界全体の第3四半期の平均月産量113万5,000枚の5.5%を占める。同工場で生産するDRAMはパソコン、サーバー、モバイル用が中心で、年初から需給逼迫が続いているため、供給量が5.5%減少すれば市場は大きな影響を受けると指摘した。

 N2工場事故の報道を受け、市場ではDRAM価格が上昇した。トレンドフォースによると上昇幅はDDR4(8GB=ギガバイト)が3.16%、DDR4(4GB)が2.65%、DDR3(4GB)が2.64%で、全体では2.6~3.2%の上昇となった。

iPhone8出荷に影響か

 マイクロンは米アップルのスマートフォン「iPhone」の主要サプライヤーで、新モデル「iPhone8」の出荷に影響が出ることも懸念される。

 Aデータの陳立白董事長は、スマホへの搭載量増加、クラウドサーバー設置拡大により、DRAMの供給不足は予想以上に深刻だと説明した。さらに人工知能(AI)の急速な発展もあり、DRAM価格は第3四半期は1割以上上昇し、来年上半期まで値上がりが続くと話していた。

【表】