ニュース 自動車・二輪車 作成日:2017年7月7日_記事番号:T00071537
電気自動車(EV)の旗手、米テスラ・モーターズの株価が最近2週間で2割暴落した。セダン「モデルS」が、米道路安全保険協会(IIHS)の衝突試験で最高評価を逃したことなどが要因で、不安心理が持ち上がった。ただ、和大工業(HOTA)をはじめ台湾サプライヤーに影響は出ていない。フォルクスワーゲン(VW)が生産強化を表明するなどEV市場は好材料が多く、台湾メーカーにとって展望は明るい。7日付経済日報が報じた。
モデルSは2月のIIHS衝突試験でも最高評価を逃しているが、その際は株価に影響はなく上昇し続けた(同社リリースより)
テスラの米ナスダック市場での株価は6月23日の383.45米ドルから7月6日の308.83米ドルへ19.4%下落した。IIHSの6日発表によると、モデルSは電柱や木への衝突を想定した「スモールオーバーラップ前面衝突試験」で4段階のうち下から2番目の「可」だったため、総合で最高評価が獲得できなかった。IIHSは、モデルSはシートベルトの拘束力が弱く、衝突試験用ダミー人形がハンドルに強く接触したことが高い評価を得られなかった要因と説明。モデルSは危険とは言えないが、2回の試験ともに残念な結果に終わったとコメントした。
ただ、テスラはSUV(スポーツ多目的車)「モデルX」が6月、米道路交通安全局(NHTSA)の安全評価試験で、SUVとして史上初めて全カテゴリーで安全性5つ星評価を取得しており、テスラの自動車は安全性が懸念されるとは一概には言えなさそうだ。
テスラの株価暴落はこの他、ボルボ・カーが2019年以降、全車種をEVまたはハイブリッドに切り替えると宣言し、テスラのシェアが侵食される懸念が生じたこと、および電池の供給不足により、上半期の出荷台数が予想を下回る4万7,000台にとどまったことが要因に挙げられる。
「モデル3向けに生産急ぐ」
テスラの台湾サプライヤーは、▽和大、減速機(ギアボックス)▽貿聯、ハーネス▽台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)、電気制御システム▽健和興端子、高電圧コネクター▽崧騰企業、高電圧コネクター▽乙盛精密工業(ESON)、サンルーフや電池の部品▽錩新科技(CXテクノロジー)、スピーカー鍛造部品▽順徳工業(SDI)、リードフレーム▽亜洲光学(アジア・オプティカル)、車載カメラ──で、株価は大きく変動しておらず、テスラ株暴落の影響はない。
出荷に関して台湾サプライヤーは、今年発売される入門モデル「モデル3」向けに生産を急いでいると話しており、出荷は正常なようだ。テスラの主要サプライヤーである和大も、出荷量に変化はないとした上で、テスラは市場検査、品質検査に合格しており、IIHSの結果は今後の販売に影響しないと強調した。
VWがEV拡大、台湾勢に受注も
一方VWブランド経営陣のユルゲン・スタックマン氏は6日来台し、25年までにEVの生産規模を年100万台以上に引き上げると発表。台湾メーカーのサプライヤー入りが期待される。
VWは来年下半期には台湾にEVを導入する計画で、和大は台湾メーカーは研究開発(R&D)能力と経験に長けており、サプライヤー入りの可能性は非常に高いと指摘した。
国際エネルギー機関(IEA)は6月に、昨年の世界市場でのEV販売台数が200万台を突破したと発表。インド政府が20年までに国内のEV販売台数を年700万台とする目標を掲げるなど、世界のEV市場は今後さらなる拡大が予想される。
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