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遠東百貨50周年、エンタメ・グルメ強化でネット通販に対抗


ニュース 商業・サービス 作成日:2017年7月10日_記事番号:T00071564

遠東百貨50周年、エンタメ・グルメ強化でネット通販に対抗

 台湾で戦後初の百貨店となった遠東百貨(ファーイースタン・デパートメント・ストアズ)が創業50周年を迎え、8日に記念パーティーが開かれた。徐旭東(ダグラス・シュー)董事長は、インターネット通販に対抗すべく、実店舗でしか味わえないエンターテインメント性の向上やグルメエリアの拡大により、あらゆる年代の顧客を満足させる経営を目指すとの方針を語った。また、百貨店はネットでは代替できない価値があり、10年後も実店舗販売の主役にあるとの認識を示した。10日付自由時報などが報じた。

/date/2017/07/10/00Far_2.jpgMRT開通以前の宝慶店。1号店を同エリアに置いたのは、当時台北で最も賑わいのある商圏だったためだ(遠東百貨フェイスブックより)

 徐董事長は「単にモノを売るだけということはあり得ない」と強調。新竹県で2020年にオープン予定のショッピングセンター(SC)、竹北新世紀購物中心の飲食店誘致を例に挙げ、小吃(軽食)店ばかりでは親にごちそうするには不足だし、高級レストランばかりでは消費額が膨らむため時代に合わず、バランスの取り方に工夫のしがいがあると述べ、グルメエリアなどで実店舗の価値向上に注力する考えを示した。

西門町エリアに1号店

 遠東百貨は1967年8月に台北市西門町エリアの永綏路で、台湾で戦後初の百貨店をオープン。その後72年に、

中華路一段と宝慶路の交差点に宝慶店をオープンし、永綏路の1号店を宝慶店に編入した。同店は現在、台北MRT(都市交通システム)西門駅3番出口前に位置している。ちなみに台湾初の百貨店は、日本統治時代の32年(昭和7年)に台北市栄町(現在の衡陽路、宝慶路一帯)にオープンした菊元百貨店だ。

 徐董事長は、台湾だけでなく世界中の百貨店は成長が鈍化しており低利益率になっていると現状を説明。経済部統計によると、今年1~5月の百貨店売上高は1,310億台湾元(約4,900億円)の前年同期比1.5%減で、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、量販店が前年同期比でプラス成長となったのに対し、落ち込みを見せた。それでも徐董事長は、百貨店はサービスや商品を手に取って見れる点で、ネットでは代替できないと強調。台湾のネット販売業者は経営が苦しいとも指摘した。

3年内に2店舗オープン

 同社が新たにオープンを計画している台北市信義区A13区画の百貨店については、既にデザインが完成しており、誘致テナントの初期検討段階だと説明。建設や営業許可の取得を急ぎ、19年にオープンさせたいとの考えを示した。

 今後3年間にオープンする竹北新世紀購物中心とA13区画の百貨店は、板橋大遠百(メガシティー)や台中大遠百(トップシティー)と同様の大型商業施設とする計画で、完成すれば店舗網は全13店舗となり、営業面積が現在の3割増となる。

愛買、他ブランド買収も視野

 業績が苦戦している遠東集団(ファーイースタングループ)の量販店大手、愛買(aマート)は、昨年に高雄店と台北大直店を、今年4月には員林店(彰化県)を閉店するなど不採算店舗の整理を進めている。徐董事長は、愛買はグループ内の小売業との関連性が強く、利益が出なくても経営は続けると強調した。

 愛買の経営改善については、店舗の改装を進めるほか、各店舗の賃貸契約が満期になった段階で、周辺商圏の来客状況と賃料を照らし合わせ、不採算店舗を閉店して利益率の高い店舗に経営を集中する考えを示した。また、将来的には台湾の他ブランド量販店の買収も視野に入れていると話した。

 愛買は現在16店舗で、昨年は4億6,000万元の赤字を計上。不採算店舗の閉店により今年は黒字化を目指す。