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対中投資の資金規制、完全撤廃へ


ニュース その他分野 作成日:2008年5月1日_記事番号:T00007158

対中投資の資金規制、完全撤廃へ

 
 尹啓銘次期経済部長は30日、馬英九新政権で「純資産の40%」を上限としている、企業の対中投資の資金規制を全廃する方針を明らかにした。「資金は規制せず、技術のみを規制する」を基本方針とし、先端的な核心技術については、地域の安定を目的とした輸出管理協定であるワッセナー協定に基づいて、個別管理で対応する考えだ。1日付工商時報が報じた。
 
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尹啓銘次期経済部長(左)は、キャリアの大部分を経済部で積み上げてきた。陳水扁政権の対中経済政策を、「鎖国的」と強く批判していた(30日=中央社)

 台湾政府による企業の対中投資規制には、資金上限のほか、ハイテクでは半導体とパネル、サービス業では銀行・質店、また電信業など、業界別の投資規制もある。尹次期経済部長は、新政権でこれらの投資規制の撤廃についても検討する考えを示した。これらの投資規制は、李登輝前総統が1997年に「戒急容忍」(「急がず慌てず」の対中投資方針)を打ち出して以来、これまで11年にわたって続いてきた。

 また、台湾が競争力を持つ核心技術に関係した産業の中国投資については、ハイテク産業はワッセナー協定に基づいて認可するか否かを判断し、従来型産業には何らかの補完措置を設ける方針を示した。 

 投資規制の大幅緩和の目的について尹次期経済部長は、「両岸(中台)の産業界のためだけではなく、海外大手企業の世界展開と協調することを視野に入れたもの」と指摘した。規制緩和後は、中台の企業間協力が進むとともに、海外大手企業も中華圏での展開において台湾企業や中国企業との提携意欲がより高まるという見方を示した。

12インチウエハーの開放も検討

 経済部は、半導体の12インチウエハー工場の中国投資開放も検討している。12インチ工場は、ワッセナー協定で禁止項目に含まれていないためだ。

 ワッセナー協定は、1996年に発足した国際的な輸出管理協定で、現在米国や日本など40カ国が参加している。「地域の安定を損なう恐れのある通常兵器の過度な移転と備蓄の防止」を目的としており、独裁国家に兵器転用の恐れのあるハイテク技術などを移転することを禁じている。電信、電子、先端材料、航空電子設備などが同協定の対象に含まれる。

 経済部が2006年末に行った、半導体の0.18マイクロメートル製造プロセスの中国投資開放の決定も、現行のワッセナー協定に従ったものだ。

馬次期総統、「原則開放、例外管理」 
 
 なお、馬次期総統も30日、企業団体「三三会」の会合で、対中投資方針は「原則開放、例外管理」を原則とすると表明した上で、「大陸投資の資金規制は、大陸にとっても効果がなく、台湾にとってダメージとなる。企業に有利で、台湾がダメージを受けないことであればすべて開放したい」と強調した。対中投資資金の上限規制撤廃は、「いつ実施されるか」が今後の注目点となりそうだ。