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高雄・美麗島駅「光のドーム」、節電で薄暗く


ニュース 社会 作成日:2017年7月10日_記事番号:T00071589

高雄・美麗島駅「光のドーム」、節電で薄暗く

 高雄MRT(都市交通システム)美麗島駅のコンコースには、天井いっぱいに広がる色鮮やかなステンドグラスと照明を組み合わせたパブリックアート「光之穹頂(光のドーム)」が設置され、その美しさから観光名所と化している。しかし、高雄市が省エネを理由に光のドームの照明を暗くし、以前のような輝きが失われていることに対し、芸術家などから「作品に対する敬意を欠いている」などと批判の声が上がっている。

/date/2017/07/10/20takao_2.jpg美麗島駅の光のドーム。高雄捷運は、芸術と環境保護のバランスを探ると表明した(10日=中央社)

 美麗島駅の光のドームは、イタリア系米国人の著名なステンドグラスアート作家、ナルシサス・クアグリアータ氏の作品で、世界最大のパブリックアートとしても知られる。また同作品の存在を理由に美麗島駅はかつて米国の旅行サイト「世界で最も美しい地下鉄駅15選」に選出されたこともあり、高雄市を訪れる観光客必見の観光スポットともなっている。

 高雄MRT運営会社の高雄捷運(KRTC)は、光のドームは約2,000本の蛍光灯を使用するため消費電力量が大き過ぎるとして明るさを25%落としている。これに対し、同作品設置当時に高雄MRTのアートディレクターを務めた周渝珠氏は先ごろ、陳菊高雄市長に宛てた公開状の中で、創作者の意図を無視して照明を暗くしたことや作品の周辺に無秩序に露店や看板を出していることを挙げ、管理がずさんだと批判した。

 高雄師範大学・跨領域芸術研究所の黄孫権助理教授も「創作者に事前相談なく勝手に作品の設計を変更する行為は敬意を欠いている」と指摘。批判を受けて陳市長は「芸術作品を尊重し、今後、MRTに適切な改善を指示する」と表明した。

 一方、節電後に美麗島駅を訪れた観光客からは一部で「確かに感動したが、ちょっと暗く感じた」との感想が聞かれたものの、「それほど違いを感じない」「明るさはこれくらいで十分」といった意見もあった。

 省エネは重要だが、作者の理解を得るという最低限の手続きを怠ったことは批判されてしかるべきだろう。