ニュース 電子 作成日:2017年7月14日_記事番号:T00071671
ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は13日、7ナノメートル製造プロセス製品を予定通り来年から量産すると表明した。サムスン電子も11日に、来年下半期に7ナノによる量産が実現するとの見通しを示しており、来年は両社による同プロセスでの対決が本格化する見通しだ。14日付工商時報などが報じた。
劉共同執行(右)は今年のファウンドリー市場の成長率予測を従来の5%から6%に上方修正すると発言。下半期の市場を好感していることをうかがわせた(13日=中央社)
TSMCは同日開催した業績説明会で、7ナノは既に認証取得を完了、年内に13製品をテープアウト(設計完了)する見通しで、「同業をリードしている」と強調した。同社はさらに、極端紫外線(EUV)露光技術を用いた「7ナノ+」を来年に、5ナノを19年上半期に試験生産する予定だ。
一方、サムスンは11日、来年「フルEUV」の導入によって、7ナノ製品の良品率と価格でTSMCを上回ると宣言。19年には6ナノと5ナノを生産するとして、7ナノでクアルコムの受注を再びTSMCに奪われた状況からの逆転を目指している。
10ナノ出荷拡大へ
TSMCは6月に10ナノを少量出荷したところで、第3四半期に出荷量が拡大、売上構成比は第2四半期が1%、第3四半期が10%となる見通しだ。同プロセスは米アップルのスマートフォン次期機種「iPhone8」の「A11」プロセッサーのほか、聯発科技(メディアテック)、ハイシリコンのスマホチップに採用される。
現在TSMCの16ナノ製品を調達している顧客は、多くが10ナノを飛び越して7ナノを直接採用する意向で、このためTSMCは今年下半期に7ナノ製品の生産能力増強を急ぐ。
TSMCの7ナノ製品は、ザイリンクス、エヌビディア、クアルコムが採用を決めたとみられる。また、アップルの次世代プロセッサー「A12」を受注する可能性もある。
HPCは7ナノが鍵
TSMCの劉徳音・共同執行はナノ+について、IP(知的財産)コアと製造プロセスの多くが7ナノと共通であるため、顧客は7ナノから7ナノ+への移行がスムーズにできると説明。先進プロセスで同業をリードできるとアピールした。また同社は、人工知能(AI)や高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)向け製品が、TSMCの成長エンジンの一つとなり、HPCでは7ナノが鍵を握るとの見方を示した。
5ナノ開発も予定通り19年上半期に試験生産に入る。3ナノについて魏哲家・共同執行長は、台湾での生産を優先するとしつつ、米国に工場を設置する可能性も否定しなかった。来年上半期に設置場所を決める方針だ。
魏共同執行長はこのほか、モノのインターネット(IoT)などの広がりによりブロードバンド、Wi-Fi(ワイファイ)、高周波製品向けチップで28ナノの採用が拡大し、需要が予想を上回っているため、28ナノの生産能力を増強することも表明した。
Q3見通しを慎重視
同社の第2四半期連結売上高は2,138億5,600万台湾元(約8,000億円)で前期比8.6%減、純利益は662億7,100万元で24.4%減となった。上半期連結売上高は4,477億7,000万元で、前年同期比5.3%増だった。何麗梅財務長は、台湾元換算では前年同期比5.3%増だが、米ドル換算では12.2%増となり、基準通貨によって増減幅が大き過ぎるため、今後の業績の数字は全て米ドルで発表すると説明した。
第3四半期の展望について、連結売上高は81億2,000万~82億2,000万米ドルと予想。同社の想定為替レート、1米ドル=30.3台湾元では2,460億~2,490億元で、前期比15~16.4%増となる。市場予想の20%増よりも慎重な見方だ。第4四半期は10ナノの出荷が伸び、過去最高売上高を達成すると予想している。
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