ニュース 農林水産 作成日:2017年7月18日_記事番号:T00071723
日本産牛肉の輸入が14年ぶりに解禁される見通しとなった。牛海綿状脳症(BSE)発生を理由に2003年より台湾への輸入が禁止されてきたが、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA、食薬署)が17日、条件付きでの解禁方針を発表。早ければ9月中旬にも実現するとみられ、飲食業界は早くも和牛ブームの到来に期待を寄せている。18日付蘋果日報などが報じた。
TFDAによると、輸入解禁の対象となるのは日本、オランダ、スウェーデン産の牛肉。日本では09年以降BSEの発生例がなく、当面のリスクがなくなったと判断した。生後12カ月以上30カ月以下の牛で、脳や脊髄などの特定危険部位を取り除き、適切に処理されたことを示す証明書を添付することなどが条件。福島第一原子力発電所の事故被災地5県(福島、茨城、栃木、群馬、千葉)が産地の牛肉は解禁対象外となる。
業界は歓迎
台湾で日本産和牛は、高価ながらも本場の味が食通に人気で、宿泊・飲食業界は輸入解禁によって商機が期待できるとみている。
ホテルチェーン大手の晶華麗晶酒店集団(リージェントホテルズグループ)や六福旅遊集団(レオフー・ツーリズム・グループ)は、メニューに取り入れれば必ず集客につながるとみて、輸入が正式に開放されれば導入を検討する構えだ。
焼肉レストランなどを展開する乾杯集団(カンパイ・グループ)も、輸入解禁に歓迎の意を表明した。同社は、日本産の輸入禁止以降、豪州産和牛に切り替えており、昨年の輸入量は200トンに達したと説明。和牛の焼肉は人気メニューになっていると指摘した。
食肉輸入業者の大山洋行は、解禁後3~6カ月は和牛ブームとなり、それに伴い価格も上昇すると予想した。
小売業者では、量販店大手のカルフールが「輸入する可能性がある」と表明。日本産和牛の価格は豪州産和牛の1.5~2倍、一般的な牛肉の3~4倍に上るという。
米国産・豪州産が多数
現在、台湾は牛肉の94%を輸入しており、米国産、豪州産が多くを占めるが、カナダやニュージーランド、パラグアイに対しても輸入を開放している。日本産和牛の輸入解禁によって、市場に新たな変化が起きそうだ。
ちなみに台湾で日本産和牛は、輸入禁止措置が取られながらも、密輸が行われているとのうわさが絶えなかった。ある業者によると、日本で1キログラム当たり3,000~4,000台湾元(約1万1,000~1万5,000円)で購入しても、台湾のレストランに売却すれば同1万元になるため、大きな利幅が得られるという。
「リスクはゼロでない」
台湾大学獣医専業学院の周晋澄院長は、今回輸入が解禁される日本などは、国際獣疫事務局(OIE)の総会において、国際的なBSEの安全性格付け(BSEステータス)の最上位である「無視できるBSEリスクの国」に認定されているものの、リスクはゼロではないと指摘。不定期で検査員を日本の食肉工場に派遣したり、輸入の際の書類審査を確実に実施しなければ食の安全は守れないと訴えた。
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