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台中が台湾第2の都市へ、産業発展・育児支援で人口拡大


ニュース 社会 作成日:2017年7月21日_記事番号:T00071805

台中が台湾第2の都市へ、産業発展・育児支援で人口拡大

 台中市の人口が7月末にも高雄市を超え、台北(台北市・新北市)に次ぐ台湾第2の都市に浮上する見通しだ。台中市政府は、産業発展が期待できるため、従来は北部に働きに出ていた若者が地元で就職するようになり、また、子育て支援の充実で、北中部の県市からの人口流入が多いためと分析した。ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の中部科学工業園区(中科)大肚山での新工場設立や、台湾政府のスマートマシン産業推進政策による機械産業の活性化で、今後も就業機会の創出が見込まれる。産業の高度化と生活環境の改善が台中市に人を呼び寄せているようだ。21日付聯合報などが報じた。

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 台中市の6月末時点の人口は277万6,579人で、高雄市の277万8,023人へ1,444人差に迫っている。台中市の人口は過去5年、毎年平均約2万人のペースで増えており、1週間後に高雄市の人口を上回る見通しだ。なお、台中市の人口は過去10年で17万人増えたが、高雄市の人口は1万3,000人の増加にとどまっている。

 台湾全土の6月末時点の人口は2,355万2,470人。台北市の人口は268万9,845人で9年前に高雄市に追い抜かれている。最も人口が多いのは新北市で398万2,434人に上る。桃園市は216万7,616人で、6月の人口純流入が3,003人と最も多かった。

台中市、住みよい街づくり

 台中市は20日、住みよい街づくりを目指す台中市地域計画が内政部の審査を通過した。今後、1本の台湾鉄路(台鉄)山手線、2大国際港、3つの副都心を整備する「大台中123」政策を加速する。林佳龍台中市長は、人口増加だけにとらわれず、行政院が5月に決定したスマートマシン産業推進プランで、地場産業の機械産業を高度化すると表明した。

/date/2017/07/21/00taichung_2.jpg林佳龍台中市長。台中市は「大台中123」政策で、人口500万人以上の中部の発展を目指す(中央社)

 台中市政府経済発展局(経発局)の呂曜志局長は、台中市には中小企業が18万社ある上、近年は台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資が増えており、人口流入が進んだと分析した。

 台中市の飲食店勤務者は、市内に飲食店が多く、サービス業の就業機会が多いと台中市に住む理由を説明した。南投県から台中市に引っ越した小学校教諭の女性は、0~6歳児に託児支援があり、小学校の設備の質も高いと、育児の一貫支援体制を高く評価した。

高雄市、生活の質をアピール

 一方、高雄市政府は、人口だけが都市化の指標ではないと強調した。労働者の低賃金が原因との見方について高雄市政府研究発展考核委員会(高雄市研考会)の劉進興主任委員は、高雄市の平均給与は月3万2,210万台湾元(約11万8,700円)で台中市の3万771元より高く、可処分所得は年間31万9,905元と、6直轄市で台北市の42万6,633元に次いで2番目に高いと反論した。さらに、住宅価格の年収倍率は台南市に次いで低く、公園の緑地面積が台湾で最も広い上、PM2.5(微小粒子状物質)削減幅も台湾で最大で、北中部より高雄市の方が生活の質が高いと説明した。

 その上で劉主任委員は、従来型産業が中心の高雄市は馬英九前政権下で産業転換のリソースを得られず、中央政府の産業政策はこれまで北中部に偏っていたと述べた。高雄市は現在、亜洲新湾区(アジア・ニュー・ベイエリア)整備を進める一方、▽MICE(ミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビション/イベント)▽文化クリエイティブ▽デジタルコンテンツ──など新産業の育成で、ブレイクスルーを図っていると語った。

 高雄市研考会によると、人口流出入は科学工業園区(ハイテク工業団地)の設立や発展と関係が深い。新竹科学工業園区(竹科)設立から現在までで北部の人口は368万人増加し、中科設立後に中部の人口は114万人増加、南部科学工業園区(南科)設立後に南部の人口は86万人増えている。

【表】