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線香文化を政府が破壊?台北で大規模デモ


ニュース 社会 作成日:2017年7月24日_記事番号:T00071852

線香文化を政府が破壊?台北で大規模デモ

 参拝者が供える線香の煙が大気汚染や健康被害の原因となっているとして環境保護署(環保署)が香炉を減らすといった対策を指導していることに対し、「政府は台湾から線香をなくし、信仰文化を破壊しようとしている」などと抗議する大規模デモが23日、台北市で開催され、全土200以上の道教廟(びょう)や仏教寺院関係者が参加した。主催者はデモの参加人数について10万人と発表したが、警察発表では1万1,000人にとどまっている。

/date/2017/07/24/19kakomi_2.jpgデモは神輿や神像が練り歩き行われたため、大規模なお祭りのような様相だった(23日=中央社)

 今回のデモは午後2時ごろに中正紀念堂前の自由広場を出発。参加者が神輿(みこし)や神像とともに市内を約3キロメートルほど練り歩き、午後4時前に総統府前の凱達格蘭(ケタガラン)大道に到着。同地でスピーチや抗議のパフォーマンスが繰り広げられた後、午後7時ごろに線香を上げて祈祷(きとう)式を行い、終了した。

 またデモ主催者は、廟や寺院では既に線香の煙を減らす対策を講じており、大気汚染源としての比率も小さなものとなっていると指摘し、これ以上、線香の削減を進める必要はないと訴える陳情書を総統府に提出した。

 宗教施設が政府への反発を強めている背景には、環保署が推進する「減香(線香を減らす)政策」が「滅香(線香をなくす)政策」と誤解されるよう、組織的にデマを流している勢力の存在があるとされる。

 デモの中心となった中南部の廟や寺院は、与党民進党にとって重要な票田となっていることもあり、蔡英文総統はデマに激怒。雲林県出身の李応元・環保署長など関係閣僚に対策を指示したもようだ。

 これ受けて李環保署長は23日、誤解を避けるため、今後は「減香」ではなく「少香」や「省香」といった用語を使用すると説明。また内政部も「『滅香』政策を推進したことはない」と強調した上で「各宗教団体が自発的に『減香』を進めることを期待する」と表明した。

 なお台北市では、商売の神様「関羽」などを祭る廟として人気の高い「行天宮」(中山区)が2014年に香炉を全面撤去し、参拝客から好評を得ているほか、市内最古の寺院で日本人観光客も多い「龍山寺」でも15年に香炉を半分に減らした。

 伝統や文化を重視しつつ、時代に即した宗教施設運営の模索が今後も続くとみられる。