ニュース 社会 作成日:2017年7月26日_記事番号:T00071903
台湾ではここ数年、各地の山間部に「空中散歩」ができるとうたう吊り橋や遊歩道が相次いで設置され、大勢の観光客を集めている。しかし一方で、環境保護団体などからは、「自治体が率先して自然を破壊している」と厳しい批判の声も上がっている。
南投県信義郷の琉璃光之橋。山奥での空中散歩は貴重な観光資源だろうが、多くなり過ぎると魅力も乏しくなる(南投県観光サイト「走進南投」より)
南投県竹山鎮の太極峡谷にかかる吊り橋は両端の高低差が20メートルに及ぶことから通称「天梯(天のはしご)」と呼ばれ、2005年に開通した際には大勢の観光客が押し寄せ、同県に8,000万台湾元の経済効果をもたらしたとされる。
これに味をしめた同県内ではその後、南投市福山里の「天空之橋」、信義郷の「琉璃光之橋」、仁愛郷の「清境高空観景歩道」、中寮郷の「龍鳳瀑布空中歩道」など観光客誘致を目的とする吊り橋や空中歩道の建設が相次いだ。
さらに桃園市復興区で「小烏来天空歩道2.0」、彰化市で「八卦山天空歩道」、嘉義県竹崎郷で「天空走廊」、花蓮県豊浜郷で「親不知子天空步道」が建設されたほか、今後、台中市や高雄市でも同様の施設が完成する見通しで、「空中歩道ブーム」は全土各地に及んでいる。
ただ、これら吊り橋や遊歩道に対し環境保護団体や専門家は、山林の破壊につながり、台風や豪雨に見舞われた際、甚大な災害を引き起こす原因となりかねないなどと警告。また空中歩道の建設は環境を破壊する可能性があるにもかかわらず、環境影響評価(環境アセスメント)が全く行われていないと批判している。
さらに観光客誘致についても、南投県竹山鎮の「天梯」は当初延べ100万人以上の観光客を集めたが、厳しい地形が原因で、その後人気は下降。彰化市の「八卦山天空歩道」も昨年開通した当初は1日に延べ4万人を集めたが、現在では早くも同4,000人程度に減少しており、経済効果は長続きしないとの疑念が生じている。
また、空中歩道では観光客に刺激的な体験をしてもらおうと下が見える透明な板を道として使用するケースが多いが、こうした板はコケが生えて視界が悪くなりやすいほか、ヒビも入りやすくメンテナンスに高い費用がかかるため、全体としてマイナスが大きいとの声が聞かれる。
山間部の空中歩道は是か非か。目先の利益ではなく長期的な視野に立って利用してほしいものだ。
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