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作成日:2008年5月5日_記事番号:T00007193
パプア事件、国交交渉装った詐欺劇か
民進党政権がパプアニューギニアとの国交樹立交渉を目的に支出した秘密資金10億台湾元(約34億5,000万円)が密使役の民間人に着服された事件で、検察当局が密使役を務めたとされるシンガポール籍の呉思材氏と台湾系米国人の実業家、金紀玖氏が取り交わした電子メールを分析した結果、国交樹立交渉に対する言及はほとんどなく、大半が利益の分配に関する内容だったことが4日までに判明した。台北地検は国交樹立交渉を装った詐欺事件だった疑いを強め、全容解明に全力を挙げている。
5日付中国時報などによると、台北地検は呉氏と金氏のパソコンを押収して詳細な分析を進めた結果、2人は2006年にパプアニューギニアとの国交樹立交渉で仲介役を果たすことで台湾外交部と合意した当時、大量のメールをやり取りしていた。しかし、内容はプール先の口座からどうやって資金を引き出し、どの口座に移すか、資金をどうやって分配するかなどに関するもので、意見が激しく対立していた様子がうかがえるという。2人は国交樹立交渉が不調に終わっても、資金を台湾外交部に返還する意思はなかったとみられる。
これに先立ち、呉氏は3日、記者会見を行い、英語で「自分こそ被害者だ」などと述べていたが、検察は呉氏自身が台湾外交部を相手とする詐欺事件に深く関与していたのは間違いないとみており、証拠分析を進めた上で、再度事情聴取を行う方針だ。
着服された資金の行方について、検察は詳細を明らかにしていないが、押収したパソコンには資金の流れを示す口座番号などをデータが残されていたもようだ。
一方、もう一人の中心人物である金紀玖氏は、米ロサンゼルス郊外の自宅に不在の状態が続いており、行方は分かっていない。