ニュース 運輸 作成日:2017年7月31日_記事番号:T00071959
長栄航空(エバー航空)は30日、客室乗務員500人余りが中型の台風9号(アジア名・ネサット)の上陸を受け「天災休暇」を申請したため、午前中に日本便を中心に計50便の欠航を迫られた。乗客1万人の足に影響し、同社の損失は1億台湾元(約3億6,600万円)以上に上ったもようだ。昨年6月の中華航空(チャイナエアライン)の客室乗務員によるストライキに倣った集団休暇による実力行使で、労使交渉を有利に運ぶ狙いとみられる。天災休暇は労働者の権利だが、そこを逆手に取って予告なく多くの乗客の権益を損なったことは、運輸業に携わる者の職業倫理として妥当なのか疑問が残る。31日付経済日報などが報じた。
ちょうど夏の旅行のハイシーズンで、エバー航空は対応に追われた(30日=中央社)
中型の台風9号が29日夜から台湾を横断し、全県市政府が30日に公共機関・学校を休みにする「停班停課」を発表した中、エバー航空は客室乗務員から天災休暇の申請が相次ぎ、同日午前4時、客室乗務員の数が足りないため50便を欠航すると発表した。乗客からは、午前3時に通常運航の知らせが届いたのに空港に到着したら欠航となっていたなどの声が聞かれ、空港カウンターは手続きの行列であふれた。
欠航したのは、日本便が22便、香港、マカオ、中国などその他アジア便が28便。航空券の損失1億元以上のほか、欠航便の旅客の食事・宿泊費や、代替便への振替などで2,000万~3,000万元かかる。臨時出勤者への給与支払い、天災時の出勤に対する給与倍額支払い、交通費の補助などもあり、損失額はさらに膨らむ見込みだ。
安全軽視に不満表明か
昨年の中華航空のストライキで労働者側が待遇改善を勝ち取ったことを受け、エバー航空の客室乗務員は昨年7月以降、約半数に当たる2,500人が、航空会社の客室乗務員による労働組合、桃園市空服員職業工会に加入した。今年3月27日には団体交渉権を得て、エバー航空と毎月1回、給与や休憩時間、人出不足などの問題で交渉している。
桃園市空服員職業工会は先週27日、エバー航空と4回目の労使協議を行っており、次回は8月20日を予定している。業界では、今回の集団休暇は労組の影響力を見せ付けることが狙いとみられている。
桃園市空服員職業工会は、天候に問題がなく、安全が確保でき、会社側が対策を取っていれば、従業員は喜んで運航に協力すると表明した。
エバー航空は昨年9月の台風17号(アジア名・メーギー)襲来時、安全を軽視して45便を台湾に着陸させたとして、交通部民用航空局(民航局)から処分を受けており、今回の集団休暇は、従来から慣例化していた無理な運航への不満表明でもあるようだ。
なお交通部は、天災休暇は労働者の権利で、運輸業も除外していないと指摘した。労働部も、天災休暇申請は合法で、雇用主はこれを理由に従業員を処罰することはできないと説明した。
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