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《台風9号・10号連続襲来》50年ぶり台風連続上陸、台湾全土に被害拡大


ニュース 社会 作成日:2017年7月31日_記事番号:T00071961

《台風9号・10号連続襲来》50年ぶり台風連続上陸、台湾全土に被害拡大

 台湾では29日に台風9号(アジア名・ネサット)、30日に台風10号(同・ハイタン)と台風が2日連続で上陸し、全土で被害が拡大している。専門家によると相次ぐ上陸は、2つの熱帯低気圧が接近した場合、それらが干渉して通常とは異なる進路を取る「藤原効果」が起きたことが原因で、中央気象局は28日に台風9号に対する海上・陸上警報を発令した後、30日には台風10号に対する海上・陸上警報を発令しており、50年ぶりに2つの台風に対する警報が同時に発令される事態となった。30日付聯合報などが報じた。

/date/2017/07/31/19tainan_2.jpg台南市仁徳区では31日午前、道路が50センチ以上冠水し、メルセデス・ベンツ3台が水中に停車した状況がみられた(31日=中央社)

 政府のまとめによると、30日午後9時15分現在、2つの台風による負傷者は126人で、うち2人が重傷となっている。負傷者の多くは転倒や落ちてきた物にぶつかったことが原因だ。このほか、22日から台湾東部の山を縦走していた登山隊が台風を避けるため29日に下山していたところ、メンバーの1人が足を滑らせて谷底へ落ち、死亡した。

 台湾電力(台電、TPC)の統計によると、台風により停電した世帯は累計で66万7,046世帯に上ったものの、31日午後1時時点で停電が続いているのは2万587世帯となっている。県市別の停電は多い順に▽宜蘭県、1万556世帯▽台南市、4,265世帯▽嘉義県、3,591世帯──。

台南市、道路が河川状態

 台風9号は南部を中心に猛烈な雨をもたらし、屏東県では29日、県内各地で3時間に400ミリメートルを超える集中豪雨を記録。佳冬郷、林辺郷など多くの地域で浸水被害が発生した。

 さらに台風10号の上陸を受けて30日夜、台南市では南区、安平区など各地で1時間に40ミリ以上の降雨に見舞われ、市内の道路が川のような状態となり、多くの住宅で浸水被害が発生。地勢の低い新化区知義里の一部エリアで近隣を流れる河川、虎頭渓で堤防決壊の危険性が高まったことから住民18人が緊急避難する事態となった。

 台南市ではきょう(31日)朝、雨脚は弱まったものの各地で道路の冠水が続いており、自動車の走行が不可能となっていることから、同市政府は午前6時25分、公共機関・学校を休みにする「停班停課」の措置を取ると緊急発表した。これに対し市民からは「どれだけ多くの人間が既に家を出たと思っているのか」など、判断が遅過ぎると批判の声が噴出した。

 なおきょう31日、「停班停課」の措置を取っているのは台南市、高雄市、屏東県の南部3県市にとどまっている。

キャベツ、価格2倍に

 行政院農業委員会(農委会)の発表によると、31日午前11時現在で分かっている農業、畜産業、漁業、林業の被害は、全土で1億7,600万台湾元(約6億4,000万円)。特に宜蘭県では農業を中心に約1億1,717万元の損失が計上された。これを受けて野菜価格が上昇しており、キャベツの小売価格は従来の1台斤(約600グラム)当たり20~30元から一気に50~60元まで値上がりした。

 中央気象局の31日午前8時30分発表によると、台風10号は既に北西へと台湾を抜け、全土の台風警報も解除された。ただ、南西からの季節風の影響が今後も続く見通しで、中南部では8月3日にかけて降雨が続くと予想されている。