ニュース 社会 作成日:2017年8月1日_記事番号:T00072008
台湾では台風が襲来するたびに地方県市の首長が公共機関・学校を休みにする「停班停課」の措置を取るか否かに注目が集まり、その決定が妥当が否かが行政能力の評価を左右するほどに重視される。そんな中、台風への対応でかつて「神」と称えられた台南市の頼清徳市長(民進党)が今回の台風10号(アジア名・ハイタン)への対応のまずさで厳しい批判を浴び、大きく評価を落としている。
頼市長(中)は被災地で住民に謝罪を繰り返すほかなかった。南隣の高雄市が早々と停班停課を決めていただけに、余計に不手際が目立った(31日=中央社)
2012年8月に台風14号(同・テンビン)が台湾を襲った際、南部を中心に多くの県市が「停班停課」を決定する中、台南市の頼清徳市長のみ通常通りの出勤、登校日とする判断を下し、当初は市民から批判を浴びたものの、その後天候は回復。その判断の正しさに、一転して「神」との称賛が集まった。
しかし昨年9月の台風17号(同・メーギー)来襲時には、頼市長は他の南部4県市と同様、規定に基づいて午後からのみの停班停課としたが、午後からの風と雨は予想以上に激しくなり、危険な状況の中で下校を強いられた子供の保護者などから批判が高まり、謝罪を表明する事態となった。
さらに今回の台風10号では30日夜に休暇措置を実施しないと表明したものの、31日早朝になっても市内各地の道路で深刻な冠水が続き、自動車の走行が不可能となっていたことから、午前6時25分に「停班停課」の措置を取ると緊急発表。しかし「どれだけ多くの人間が既に家を出たと思っているのか」など、判断が遅過ぎると批判の声が市民から噴出した。
安易に「停班停課」措置を取らない傾向にある頼市長の判断が裏目に出る事態が続いた格好だが、民進党主席の蔡英文総統は「各首長の判断は気象局など専門家チームの判断を評価して下されたものと信じている」と擁護。同党所属の林佳龍・台中市長も「政治家は市民の生命と財産の安全確保を任務とするが、(台風を)100%正確に予測することは不可能で、『絶対的な神』は存在しない」と理解を求めた。
ただ、今回の対応について頼市長は「気象局のデータを基に判断した」と釈明したものの、これに対し気象局予報センターの呂国臣主任は「29日夜に提供した予測では台南の平野部は『大豪雨』に見舞われるとの内容だった」と発言したことから批判の声は高まるばかりだ。
なお先ごろ、蔡総統が林全内閣の閣僚に強い不満を抱いており、9月にも内閣改造が実施され、頼市長が行政院長に就任するとの観測が浮上していたが、今回の台風への対応のまずさでその可能性が消えたとの見方も出ている。
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