ニュース 石油・化学 作成日:2017年8月7日_記事番号:T00072103
台湾中油(CPC)はこのほど、米国への100億米ドル規模の大型投資を決めたもようだ。エチレン(年産規模150万トン)、プロピレン(同130万トン)の基礎原料の他、ポリエチレン(PE)、エチレングリコール(EG)、ポリプロピレン(PP)、エチレンオキシド(EO)などの川下製品も生産する。台湾を上回る生産規模を実現して、台湾石化産業の長期的発展を支援する考えだ。7日付工商時報が報じた。
台湾石化業界では先日、民間最大手の台塑集団(台湾プラスチックグループ)も米国南部への大型投資を始動させており、エネルギー産業重視のトランプ政権が台湾の石化大手を引き寄せている形だ。米国投資は、環境影響評価(環境アセスメント)の基準が厳しい台湾を避けて、海外で生産規模を拡大するCPCの従来からの方針と一致する。
CPCは、米国投資を台湾の川下メーカーと共同で行う計画だ。複数の企業で実施することで投資リスクを引き下げることができる上、各メーカーが得意分野を担うことで少ない労力で高い効果が期待できる。
投資地域は、テキサス州とルイジアナ州が候補に挙がっている。テキサス州は工業用水の費用が高いことがネックとなりそうだ。ルイジアナ州では以前検討した土地が工場建設に適しておらず、現在新たな土地を探している。
台湾では350億元投資
一方、台湾では生産品目の高度化に向けて3件の大型投資を進めており、総投資額は368億台湾元(約1,350億円)に上る見通しだ。
このうち、KHネオケム(本社・東京都中央区、浅井恵一社長)との合弁会社、曄揚(台湾ジャパン・オキソ・ケミカル・インダストリーズ、高雄市)では、CPCは138億元を投じて、イソノニルアルコール(INA)を年18万トン、ブテンターポリマー(BT)を年2万1,000トン生産する計画だ。
このほか、150億元投じ米国とイタリアの企業と合弁で高雄市にC5、C9留分を主原料とする炭化水素樹脂工場を建設する計画だ。年産規模はそれぞれ20万トン、5万~6万トンを見込む。
この他、80億元を投じて、台湾苯乙烯工業(台湾スチレンモノマー、台湾SM)と国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)と合弁でスチレンモノマー(SM)工場を設置する。CPCの出資比率は40%。年産能力は25万トン、年産額は100億元を見込む。
CPCは計画している新工場で高雄・屏東地区の大気汚染総量規制をクリアさせるため、既存の大林工場(嘉義県)、林園工場(高雄市)で汚染物質排出量を削減し、その分を新工場に割り当てる。
曄揚の工場建設計画では、2015年に閉鎖したCPC第5ナフサ分解プラント(通称五軽)の割り当て分を使用する予定だったが、今年3月に高雄市環境保護局(環保局)が、新たな工場を建設するにはCPCの既存工場の汚染物質排出量を5%以上削減する必要があると回答していた。
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