ファウンドリー2強の台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)、液晶パネル2強の友達光電(AUO)と奇美電子(CMO)の、台湾を代表する大手電子企業4社が発光ダイオード(LED)の上流から下流まで各分野への展開を着々と進めている。技術力と資金力に勝る4社の進出によって、将来、世界のLED市場の勢力図が書き換えられる可能性がある。5日付工商時報が報じた。
業界関係者によると、TSMCは知的財産権問題が解決すれば、直ちに新竹科学工業園区(竹科)竹南基地にLED生産拠点を設ける方針だ。第1段階は、同社の半導体生産の実績を生かしてエピタキシャルウエハーおよびチップを量産する。第2段階では、LED生産工程の短縮と生産規模の拡大に取り組む。必要な人材の獲得に向けて、既に晶元光電(エピスター)や鴻海精密工業のLED部門と接触を開始したもようだ。
TSMCはこのほど、傘下の投資会社ベンチャーテク・アライアンス・ファンド(VTAF)を通じて、米LED大手のブリッジラックスに4,000万米ドルを出資しており、この際もエピタキシャルウエハー市場に参入を図るという観測がなされた。
UMC、多方面に展開
UMCはTSMCより一足早くLEDに進出している。傘下の元シン光電科技(エピテク・テクノロジー、シンはいしへんに申)を晶元と合併させて、晶元の役員席2席を獲得。下流LEDパッケージングの宏斉科技(ハーバーテック)に出資しているほか、傘下の聯陽半導体(ITE)がLED駆動ICの研究開発(R&D)に取り組んでいる。
また、傘下のベンチャーファンド、宏誠創投、真誠創投を通じて、璨円光電(フォルモサ・エピタキシー)傘下で高効率LEDパッケージングに取り組む研晶光電(ハイパワー・ライティング)に23%を出資し、最大株主になっている。LEDウエハーの研磨やダイシングの受託業務を手掛ける琉明光電(ルミテック)にも出資を行っている。
奇美、100億元投資へ
凱鼎科技(ライトハウス・テクノロジー)への出資や傘下の威力盟電子(ウェリーパワー)による進出でLEDパッケージング分野に取り組んでいた友達光電は今年4月、15億台湾元(51億8,000万円)を投じてLED製造子会社「隆達電子」の設立を決定した。友達集団は、2011年までにノート型パソコンのバックライト光源を、すべてLEDに改める計画だ。
璨円光電やLEDパッケージングの東貝光電科技(ユニティ・オプト・テクノロジー)に出資していた奇美は、奇力光電科技(チーメイ・ライティング・テクノロジー)を立ち上げ、呉炳昇執行副総経理が自ら指揮に当たっている。初期段階はエピタキシー、LEDチップが中心で、将来は下流パッケージングに進出する。何昭陽奇美総経理は以前、今後5年で100億元をLEDに投じる計画を明らかにしている。
奇美は今年初め、傘下の元奇投資を通じて兆晶科技(テラクスタル・テクノロジー)、および鑫晶鑽科技にそれぞれ15%の出資を行った。これにより、LEDサファイア基板、シリコンインゴット、シリコン生成の各分野に進出し、奇美集団はLED上中下流の各領域を握ったことになる。
台湾勢、世界シェア3割強へ
台湾光電産業協進会によると、原油価格の高騰などの要因で注目されているLEDは、昨年は世界市場の生産額は2,000億元以下だったが、10年まで毎年約15%の成長が続き、同年の生産額は3,000億元に達する見通しだ。
多くのメーカーが参入している台湾LED市場の昨年の生産額は530億元で、10年には960億元となり、世界シェアの3割以上を獲得するとみられる。