ニュース 運輸 作成日:2017年8月10日_記事番号:T00072200
宅配サービス大手の台湾宅配通(台湾ペリカン便)で、5日から導入した貨物の自動識別システムのトラブルで、台北市、新北市など北部で貨物の遅配が発生している。通常配達日数から2~3日遅れとなり、約1万件以上に影響が出たもようだ。週休2日制(一例一休)導入による人件費増大を嫌い、自動化を性急に進めたことが要因との見方があり、リスク管理体制に問題があったとの指摘も出ている。10日付工商時報などが報じた。
猛暑の折、農産品が遅配によって品質を落としたケースがあり、台湾ペリカン便は損害賠償に応じるという。台湾メディアによると、同社は従来から遅配や誤配の問題が指摘されていた(同社フェイスブックより)
貨物の遅延が発生しているのは▽台北市▽新北市▽基隆市▽桃園市▽新竹県市──で、台北市、新北市、基隆市は2日遅れ、桃園市、新竹県市は3日遅れとなっている。台湾ペリカン便によると、遅延の解消はあす11日になる見通しだ。
台湾ペリカン便は、5日から台湾北部の貨物転送センターの機能の一部を新北市新荘区から桃園市大園区の「大園桃転」に移転。大園桃転では貨物の自動識別システムを導入したが、多くの貨物で識別用バーコードが▽所定の箇所に添付されていない▽貼り方が正しくない▽貼り忘れ──などによりシステムが正常に作動せず、大規模遅配の事態に発展した。
台湾ペリカン便は、大手顧客の電子商取引(EC)「PCホーム」や「momo購物網」からの貨物は識別用バーコードを規定通り添付しており識別ミスが少ない一方、規模の小さい顧客の貨物は識別用バーコードが正しく添付されていないことが多く、トラブルの原因になっていると説明した。
今回のトラブルを受けて同社は当面、大手顧客からの貨物は自動識別システムを導入するが、中小規模の顧客からの貨物は従来通り人の手で行うことを決めた。
一気に切り替え
今回のトラブルについて同業他社は、自動化を急ぎ過ぎたためと指摘した。関係者によると、台湾ペリカン便の社内では、まず自動識別システムと人の手による識別を併用し、問題がなければ順次自動化すべきだとの声が上がっていたが、試験期間中にトラブルがなかったことに加え、一例一休によって人件費が増加していたため、上層部が一気に全面自動化に切り替えることを決めたようだ。
台湾ペリカン便より規模が数倍大きいある同業他社は、自動化には▽機械の設計▽きめ細かいシステム▽貨物の規格化▽配送スタッフの把握や顧客の協力──が必要不可欠であり、自動化は慎重行うべきだと話し、台湾ペリカン便のリスク管理の甘さを指摘した。
対応の遅さに批判
台湾ペリカン便を利用している果物の有機栽培農家からは、顧客から商品が届いていないとの連絡があり、遅配に気が付いたのはその時点で、同社から連絡があれば別の運送会社で配送できていたと非難した。また、他の業者からは、サービスセンターに電話がつながらず対応の遅さに怒りの声が上がった。
台湾ペリカン便は、東元電機(TECO)が親会社で25.3%を出資。次いでmomo購物網などを運営する富邦媒体科技(momo)が17.7%、台湾伊藤忠が7%を出資。日本通運が2009年まで日本で展開していた宅配事業「ペリカン便」と同じ名称を用いているが、日本通運は4.65%を出資しているのみで、既に直接的な業務提携関係はない。
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