ニュース 社会 作成日:2017年8月15日_記事番号:T00072291
文化部が文化産業の振興を目指し、台北市、花蓮市、台中市、嘉義市、台南市の5カ所に整備した「文化創意産業園区(文創園区)」について、園区内の面積の大部分を飲食店や商業施設が占め、芸術家の入居率が極めて低いため「本来の目的を見失っている」との批判が上がっている。
5カ所の文化創意園区は、利用されていなかった台湾煙酒(TTL)の旧工場や倉庫を活用して文化・クリエーティブ活動の拠点とし、産業価値を高めようと2011年より整備が始まった。しかし、立法院予算センターが調査したところ、園区内のスペースのうち芸術家が使用している比率は、正式オープンしていない嘉義文創園区を除き、▽華山1914文創園区(華山1914クリエーティブパーク、台北市中正区)、0.64%▽花蓮文創園区、4.65%▽台中文創園区、13.04%▽台南文創園区、14.09%──と、いずれも15%を下回っている。
一方、飲食店と商業施設が占める比率は▽花蓮、7.36%▽華山、20.7%▽台中、56.8%▽台南、52.5%──と、一部では50%を上回っており、本来の機能が十分に果たされていないとの指摘を受けている。
また、民進党の呉思瑤立法委員は、文創園区では入場者数やスペースの利用率を重視し、かつ周辺商品の販売により利益を上げるため、海外の業者に長期にわたる展示の権利を付与しており、実際に文化産業に従事する芸術家などは高額な権利金を捻出することができず、園区を活用できていないと指摘している。
芸術家の姚瑞中氏は、華山クリエーティブパークで開催される展覧会について、大部分が娯楽性が高く、通俗文化を扱った無難なものが多く、社会問題を扱ったり、実験的性質を持つ芸術性の高い展覧会は少ないとの認識を示した。
その上で、かつて同地が大学生や大専科学校生に無料で展示スペースを提供していた時代は実験的な内容の展示が多かったが、文創園区となり、展示が有料化されて以降は売り上げを上げることが重視され、人材育成や芸術の発展が軽視されるようになったと指摘した。
なお文化部の資料によると、フィリピンやマレーシア、中国など近隣諸国が近年、文化・クリエーティブ産業の輸出額を大幅に伸ばす中、台湾は11年の1,252億台湾元をピークに減少に転じている。政府が同産業の振興に本気で取り組もうと考えるならば、文創園区の運営方法は見直しが必須といえそうだ。
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