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《17県市大規模停電》原因は作業手順漏れ、人為ミスが確定


ニュース 公益 作成日:2017年8月17日_記事番号:T00072321

《17県市大規模停電》原因は作業手順漏れ、人為ミスが確定

 15日に発生した17県市に及ぶ大規模停電について、台湾中油(CPC)は16日、台湾電力(台電、TPC)の大潭火力発電所(桃園市)で作業員が電源供給器を交換する際、SOP(標準作業手順)に従わず、電動弁(MOV)を手動に切り替えていなかったことが原因と発表した。事故は人為ミスであることが確定した。行政院は、再発防止のため事故調査と電力点検の小組(小委員会)を設立し、総点検を行うと表明した。17日付工商時報などが報じた。

/date/2017/08/17/00top_2.jpg電動弁2カ所が同時に閉まり、天然ガス供給再開まで2分から4分かかったとされる(16日=中央社)

 大潭火力発電所は台湾の発電量の1割を占める。突然の大規模停電で154万世帯、夜間の計画停電(輪番停電)で438万世帯、合計592万世帯が影響を受けた。

 CPCの陳金徳董事長によると、突然の大規模停電は電源供給器の交換作業の前に、ガス管の電動弁の自動開閉を手動に切り替えていなかったことが原因だ。また、交換作業の現場では、電源供給器を供給したプロセス制御業者、巨路国際(LUMAX)の担当者と、CPCの担当者の2人だけで操作を判断しており、監督者が不在だった。これについてCPCは、見直しが必要と表明した。

 CPCは、交換作業は巨路国際からの電源供給器調達およびメンテナンス契約に基づいたものと指摘。CPCはTPCに対する賠償責任を負うと表明し、求償について巨路国際と協議すると説明した。

 一方巨路は、電源供給器の設置はCPCの指揮、監督の下で行っており、巨路は現場に立ち会う義務しかなかったと反論した。ただ、CPCの書類にはCPCが操作を監督し、巨路のエンジニアが設置作業を行うと書かれている。両社が責任を押し付け合う中、桃園地方法院検察署(地検)は捜査を開始した。

 なお、電源供給器は10個を交換予定で、2カ月前までに既に6個が交換済みで、大規模停電の当日は7~8個目だった。これまでの交換でも、電動弁を手動に切り替えていなかった。

 CPCによると、作業に当たったCPCの担当者は30~40歳で、天然ガス事業部の経験も長かった。本人は自責の念に駆られ、夜も眠れなかったが、16日は通常通り出勤した。CPCは、調査完了後、処分を下すが、求償はしないと説明した。

25年脱原発目標に変更なし

 林全行政院長は16日午前に記者会見を開き、行政部門の代表者として大規模停電を謝罪した。台風9号(アジア名・ネサット)で和平火力発電所(花蓮県秀林郷)の送電塔が倒壊し、電力供給が逼迫(ひっぱく)したのに続いて、大規模停電が発生したことに対し、「それぞれ個別の問題ではなく、総点検が必要だ」と表明した。

/date/2017/08/17/00lin_2.jpg林行政院長(左1)は、前回の総点検は20年以上前で、現在のリスクや潜在的危機を洗い出す必要があると表明した(16日=中央社)

 2025年の脱原発目標で天然ガス火力発電の電源構成を50%に引き上げる計画について下方修正はないかとの質問に対し、林行政院長は、メリットしかない発電方法はないので、天然ガス、石炭、再生エネルギーなどいずれも偏り過ぎないようにすると述べた。