ニュース 社会 作成日:2017年8月18日_記事番号:T00072370
台中市清水区の海岸部に位置する高美湿地では、大勢の観光客が干潟を踏み荒らしたことが原因で、生息していた豊富な種類のカニや鳥、貴重な植物が、一時ほとんど姿を消した。しかし、4年前に市が全長約700メートルの木製の桟橋を設置し、干潟への進入を規制したことで徐々に生態系が回復を見せ、現在ではかつての姿をほぼ取り戻すことに成功した。
自然豊かで美しい高美湿地こそ、訪れる観光客にとって魅力だろう(中央社)
高美湿地は日本統治時代に海水浴場として開発され、戦後も大勢の海水浴客でにぎわったが、1976年にすぐ近くに台中港が開港した影響で泥が堆積するようになり、海水浴場は閉鎖されることとなった。
湿地化した同地にはその後20年かけて11種類のカニがすみ着いたり、多くの種類の渡り鳥が飛来するようになったり、絶滅の危機に瀕する貴重な水辺の植物「雲林莞草」が群生したりと豊かな生態系が形成されていった。
だが高美湿地は台湾有数の夕日の名所として知られ、大勢の観光客が押し寄せるようになり、しかも当時は干潟への進入を特に制限していなかったことから多くの人間が湿地を踏み荒らした結果、土壌が固くなり動植物がほとんど姿を消してしまった。
そこで台中市政府は4年前、観光客が干潟に侵入することなく高美湿地を満喫できるよう全長691メートルに及ぶ木製の桟橋を設置。その結果、徐々にカニや鳥が湿地に戻ってくるようになり、見渡す限り泥しか見えなかった干潟が雲林莞草で緑色に覆われていった。
先ごろ発表された調査報告書によると、桟橋周辺には現在、「清白招潮蟹」や「弧辺招潮蟹」と呼ばれるシオマネキの一種など10種類のカニが棲息しており、生態系が順調に回復していることが分かった。
同桟橋を建設した業者によると、当初はコンクリート製歩道の設置を計画していたそうだが、カニの通行を妨げる恐れがあるとして、下に空間を設けた木製の桟橋に変更したそうだ。これが功を奏し、現在、桟橋を歩くとその下を自由に行き来するカニたちの姿を見ることができる。
ただ現在、桟橋の突端部分周辺の干潟は、観光客に立ち入りを開放しており、専門家は「新たな生態系の破壊が起きている」と警告している。今後も観光客の誘致と生態系の回復の両立を目指す試行錯誤が続きそうだ。
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