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総統府に押し入った男、「蔡総統の殺害が目的だった」


ニュース 社会 作成日:2017年8月21日_記事番号:T00072397

総統府に押し入った男、「蔡総統の殺害が目的だった」

 18日に旧日本軍の軍刀を持って総統府に押し入り、憲兵を切りつけて負傷させた呂軍億容疑者(51)は、狂信的な中国との統一思想の持ち主だったもようで、警察の調べに対し「蔡英文総統を斬首することが目的だった」と供述したことが明らかとなった。20日付蘋果日報などが報じた。

/date/2017/08/21/18mp_2.jpg蔡総統(左2)は負傷した憲兵(右1)を見舞った(18日=中央社)

 呂容疑者はかつて汚水処理関係の仕事に就いていたが4年前に離職し、家族と別居した頃からインターネット上に「偉大なる毛沢東主席に敬礼」「台湾省を神州(中国の美称)防衛の地とする」といった書き込みを行うようになり、中国共産党を崇拝する思想に傾倒していったようだ。

 そして今月12日に呂容疑者は、総統府近くのデイリーマンションを「17日まで」の契約で借り、事件当日早朝に遺書を書いた後、部屋を出てハンマーと五星紅旗を購入。さらに国軍歴史文物館(軍史館)へ向かい、2階に人がいなくなった隙を狙って展示ケースをハンマーでたたき割り、中の軍刀を盗み出した。

 なおこの軍刀の柄と刀身の間、「鎺(はばき)」と呼ばれる部分に「南京の役・殺・一○七人」と刻まれており、同館では1937年のいわゆる「南京大虐殺」の過程で起きたとされる旧日本軍少尉2人による「百人斬り競争」の証拠品として展示されていた。

 武器を手に入れた呂容疑者は同日午前10時18分ごろ総統府に押し入ろうとしたが、憲兵に制止されたため軍刀で切りかかった。しかし騒動を聞きつけた複数の警備員が駆け付け、その場で取り押さえられた。

 呂容疑者が所持していた遺書には「70数年前にわれわれ中国人を虐殺した日本の刀で偽物の総統府へ切り込み、蔡を切る」と書かれていた。

 ただ同容疑者が軍史館から盗み出した軍刀は、国防部によると「九八式」とされているが、同式が製造されたのは「百人斬り競争」の後であることなど、偽物と指摘する声もある。