ニュース その他分野 作成日:2017年8月28日_記事番号:T00072524
台湾株式市場の加権指数が17年ぶりに1万ポイント台を維持する中、2016年末時点で時価総額50億米ドル以上だった大型企業は29社と、05年より8社減少したことが台湾董事学会の調べで明らかになった。スマートフォンブランドの宏達国際電子(HTC)や受託生産大手の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)など、ハイテク関連がこのうちの7社を占めた。同会は、自社ブランドの伸び悩みや、部品・受託生産メーカーのアップル依存に警鐘を鳴らす一方、政府は大型企業ばかりを支援するのでなく、中型企業の底上げを図れば、台湾経済の発展につながると提言した。28日付聯合報などが報じた。
05年から16年の間に大型企業から中型企業に転落した8社は、HTC、コンパルのほか、▽パソコンブランドの宏碁(エイサー)▽ファウンドリーの聯華電子(UMC)▽金属筐体(きょうたい)の鴻準精密業(フォックスコン・テクノロジー)▽液晶パネルの友達光電(AUO)▽タッチパネルの宸鴻科技集団(TPKホールディング)▽化学繊維メーカー、遠東新世紀(遠東新、ファーイースタン・ニューセンチュリー)──だった。8社の時価総額は平均109億5,000万米ドルから27億6,000万米ドルまで4分の1に縮小し、年平均成長率(CAGR)はマイナス18.3%に上った。
中型企業から小型企業に転落した企業は44社で、▽液晶パネルの中華映管(CPT)▽太陽電池の茂迪(モテック・インダストリーズ)──など。時価総額は平均10億5,000万米ドルから2億5,000万米ドルに縮小し、CAGRはマイナス17.1%だった。
台湾董事学会の発起人、蔡鴻青氏は、これら時価総額が減少した企業は特に受託生産メーカーが多く、例えば携帯電話サプライヤーの場合、従来はモトローラ、近年はアップルだけに頼っていることが今後の存続に関わるリスクだと指摘した。このまま単純な受託生産だけに依存していれば、産業の長期的な成長は見込めないと述べ、政府が自由貿易協定(FTA)締結、電力や用水の確保など投資環境の改善に努めない限り、企業の海外流出が拡大すると訴えた。
蔡氏はHTC、エイサーについて、従来は成長が見られたが現在はボトルネックに陥っていると指摘した。携帯電話や自動車など自社ブランドの成功を支えるには韓国のように人口5,000万人以上が必要だが、台湾は人口が2,300万人余りにすぎないため海外進出が必須で、中国市場でうまくいっていないことが原因と分析した。
的確な経営判断
一方、同期間に中型企業から大型企業に成長したのは15社で、▽電子部品の台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)▽食品の統一企業(ユニプレジデント)▽タイヤの正新橡膠工業(CST)▽トヨタ台湾総代理店の和泰汽車──などだった。時価総額は平均31億9,600万米ドルから79億5,700万米ドルへと約2.5倍に増加し、CAGRは10.1%だった。
蔡氏は、デルタは時価総額が従来40億米ドル足らずだったが、昨年末に127億米ドルまで成長したのは、M&A(合併・買収)が奏功したと指摘した。統一企業は、台湾や海外市場拡大のため、傘下ブランドを整理し、「選択と集中」を進めたことが一因と述べた。羅智先(アレックス・ルオ)董事長自身も、「100以上のブランドや製品を持つよりも、1つの大ブランドがある方がよい」と語っている。蔡氏はまた、CSTは早くも30年以上前から中国市場に進出していたことが成功の一因と指摘した。
蔡氏は、中型企業199社のうち30社でも大型企業に引き上げることができれば、大型企業の規模が拡大し、相乗効果が増して市場の発展を促すことができると予測した。
なお、上場・店頭公開企業1,642社の16年末の時価総額は合計9,271億米ドルで、売上高は9,664億米ドル、純利益は584億米ドルだった。全体の2%にすぎない大型企業29社が時価総額全体の55%を占め、全体の86%を占める小型企業1,395社は時価総額の17%にすぎず、二極化が進んでいる。
昨年赤字だった企業は350社で全体の21.6%を占め、時価総額は421億米ドルで全体の4.5%だった。蔡氏は、これらの企業は過去4~5年赤字が続いていると指摘した。
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