ニュース 社会 作成日:2017年8月31日_記事番号:T00072593
台北ユニバーシアードが30日、12日間の日程を終えて閉幕した。台湾は競技で金メダル26個を獲得する好成績を収め、開会式のトラブルを除けば全体として運営は成功、台湾人のホスピタリティーは海外から訪れた選手や観光客に好印象を与えた。かつてなかった大規模な国際スポーツ大会の開催に成功した経験は、台湾にとって得難い資産となった。
閉幕式で中華民国国旗をはためかせる海外の選手たち。台湾に感謝を伝えたかったのだろう(30日=中央社)
台湾は陸上の男子100メートルをはじめ男子体操、女子重量挙げ、テニス、バドミントン、ローラースポーツ、ビリヤードなど9種類の競技で26個の金メダルを獲得。銀、銅合わせて90個、日本、韓国に次いで3位と地元開催のユニバで過去最高の成績を収めた。
大会前は関心の低さが伝えられていた市民も、代表選手の金メダル獲得が相次ぐ競技に熱中し、チケット販売率が87%とユニバ史上最高を記録する盛り上がりを見せ、多くの市民から「終わってしまうことが惜しい」といった声が聞かれた。台湾中が一丸となって選手たちを応援したことに蔡英文総統は「台湾は団結できる。これがわれわれが今年の夏に体験し、分かったことだ」とフェイスブックにコメントした。
運営面では、19日に開会式で年金改革に反対する市民団体の妨害によって、選手たちの入場が30分にわたって妨害されたことは残念だった。また、テニスコート会場が予算の関係で屋根が設けられなかったため、選手が暑さで体調を崩したりといった問題はあったが、全体としては順調に進行し、台湾が大規模な国際スポーツ大会を運営する能力があることを示した。
「全てが素晴らしい国」
台湾の市民のホスピタリティーや環境、食事などは外国人選手から高く評価された。エストニアの選手は中華民国国旗の青天白日満地紅旗を両手で掲げて「市民がフレンドリーで全てが素晴らしい国だ」と語った。閉会式ではアルゼンチンの男子選手たちが中華民国国旗を掲げて走ったり、カナダの選手たちが「ありがとう、台北」と書かれた横断幕を掲げて歩いたりした。台湾の良い面を海外の選手たちや応援で訪れた観光客に伝えられたことは意義があったといえる。
日本人選手たちも台湾との交流に貢献した。男子サッカーの選手団はフランスとの決勝戦前に、選手村近くの公園を自主的に掃除し、台湾メディアで称賛された。男子やり投げで、台湾の鄭兆村選手は日本の小椋健司選手(日大)から借りたやりを使ってアジア記録で金メダルを獲得。小椋選手は競技後、このやりを鄭選手にプレゼントした。
小椋選手(左)と鄭選手(右)は、やりを挟んで固く握手を交わした(28日=中央社)
国際交流を実感
市民たちが大会を盛り上げ、成功に導いたことで、ユニバーシアードの経験は台湾にとって自信になったとみられる。柯文哲台北市長は閉会式で「台湾は今大会によってスポーツを通じて世界と交流し、国際社会に溶け込み、世界から認識された」とあいさつし、観衆から大きな拍手を浴びた。普段国際社会から疎外されているだけに、国際交流の有り難さを再認識した市民も多かったのではないだろうか。
そうした大会が、台湾が独力で勝ち得たものでなく、馬英九前政権時代の対中融和政策によってもらされたものであることは皮肉だ。台湾は今回、選手が金メダルを獲得しても国旗やオリンピック旗を掲げないなど、アピールすることを抑制して中国への刺激を避けた。国際社会で評価されながらも、公的な国際交流の拡大には中国の黙認が必要という台湾のジレンマも、今大会は改めて浮き彫りにした。
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