ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

頼清徳氏が行政院長に決定、一例一休など課題山積み


ニュース 政治 作成日:2017年9月5日_記事番号:T00072670

頼清徳氏が行政院長に決定、一例一休など課題山積み

 頼清徳台南市長(57)の次期行政院長就任が決定した。林全内閣は7日に総辞職し、8日に新内閣が発足する。頼次期行政院長は、産業界との意見対立が続く一例一休(週休2日制)への対応をはじめ、環境影響評価(環境アセスメント)制度や電力の安定供給を含む投資環境の改善、冷え込みが増す中台関係など取り組むべき課題が山積みだ。頼氏は民進党内で、ポスト蔡英文の最右翼と目されている。行政院長のポジションは将来総統を目指す上で経験を積むには最適だが、政策推進がうまくいかなければ批判を浴び、人気を落としてしまう「もろ刃の剣」の面もある。

/date/2017/09/05/00top_2.jpg任務交代で蔡総統(中)と林全行政院長(左)、頼清徳台南市長(右)が手を重ね合った。頼氏は中央でも手腕を発揮できるか注目だ(5日=中央社)

 蔡英文総統は5日午前、頼氏を次期行政院長に充てる人事を発表した。頼氏は2014年の台南市長選挙で、得票率72.9%もの高い支持を得て再選するなど、民進党の本拠地・南部で高い支持を誇る。蔡総統の施政満足度が30%を割り込むまで低下した中、新内閣は有権者が成果を実感できる改革を推進することで、来年末の統一地方選挙で民進党を勝利に導く役割も期待されている。

一例一休、法改正に前向き発言

 5日付経済日報によると、頼氏は行政院長として取り組むことになる課題のうち、一例一休については7月に「産業界の懸念の声は届いている」、「解釈で解決できなければ、法改正するしかない」などと発言している。

 環境影響評価制度も、審査に時間がかかりすぎ、投資の足かせだと産業界からやり玉に挙がっており、優先課題の一つだ。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が製造プロセス3ナノメートル投資を控えているほか、台湾電力(台電、TPC)の大潭天然ガス(LNG)火力発電所(桃園市観音区)向けの台湾中油(中油、CPC)の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地が環境影響評価の審査を通っておらず、このまま年内に着工できなければ、電力供給不足を招くと懸念されている。特に電力不足をめぐっては、8月15日に大規模停電が発生したことから、2025年の脱原発目標は性急過ぎるとの声も相次いでいる。

 第1期特別予算案が採決された段階の大型インフラ整備計画「前瞻基礎建設計画」は、南部偏重の内需振興、単なるバラマキと批判する野党との対立が続いている。さらに営利事業所得税(法人税)20%への引き上げ、留保金課税(内部留保への課税)の存続などで産業界が反発している税制改革案や、改革法案が成立したものの既得権益層の反対が根強い年金改革など、林内閣が道筋を付けた政策、改革を執行する中で、頼次期行政院長の知恵と調整力が試される。

 一方で、頼氏は6月に「私は親中」「親中愛台(中国を尊重して親しみ、台湾を愛する)」と発言するなど、中台関係回復を目指す姿勢がみられ、行政院長就任後、膠着(こうちゃく)する中台関係にどう向き合うのかも注目されている。

経済界、意見聞くよう要望

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、頼次期行政院長に対し、一例一休を早急に見直し、税制改革案でも各界の意見に耳を傾けてほしいと注文を付けた。また、台湾は電力不足とのイメージが定着すれば、海外からの投資に影響すると指摘した他、両岸(中台)関係が改善しなければ、中国人観光客が訪台せず、観光業界はますます不景気になると述べた。

 中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は、経済発展を最優先目標とし、投資環境の改善に務めることで、就業機会が増え、所得が向上し、消費力が高まると呼び掛けた。

強気の姿勢

 頼氏は一昨年、国民党の台南市議会議長の汚職事件で7カ月以上議場入りを拒否するなど強気の姿勢で知られる。蔡総統も強気な性格のため、両者の関係がどのようなものになるかや、その施政への影響も注目される。次回20年総統選挙には民進党は蔡・頼ペアが総統・副総統候補として挑むとの見方も出ている。

 欠員となった台南市長の代理には、呉宗栄、張政源の両副市長などの名前が上がっている。任期は来年末までの1年3カ月余りで補欠選挙を行う必要がないため、関係者によると、実務面だけでなく、来年下半期の台南市長選挙を見据えた政治的判断で選ばれる可能性があるという。