ニュース 政治 作成日:2017年9月8日_記事番号:T00072752
頼清徳内閣が8日正式に発足した。最初の課題は、蔡英文政権で最大の失敗と批判される一例一休(週休2日制)の軌道修正だ。現行ルールの中でも不満の高い「7日間連続勤務の禁止」が見直され、12日間連続勤務が再び可能となるとの観測が浮上している。12日付聯合報が報じた。
前任の林氏(左)から行政院長の公印を受け取る頼行政院長(右)。蔡政権の正念場を支える役割を担う(8日=中央社)
昨年改正された労働基準法(労基法)では、労働者に対し7日ごとに各1日の法定休日(例假)と所定休日(休息日)付与が義務付けられ、法改正に先立つ施行細則解釈によって7日間連続勤務が禁止され、連続勤務は最大6日間までとなった。従来は2週間のうち、初日と最終日を法定休日とし、2日ある所定休日に休日出勤を求めることで、最大12日間の連続勤務が可能だった。これが禁じられたことで、産業界から「シフトが組めなくなった」などと不満が上がっていた。
行政院副院長に就任した施俊吉氏は、メディアのインタビューに対し「一例一休の一部の規定は、新たな解釈か、行政上の緩和措置によって対応すべきだ」と発言し、修正に前向きな意欲を見せている。「企業の柔軟性は台湾の競争力にとってメリットであり、必ず残さねばならない」と主張する。
産業界は労基法の再改正による問題解決を訴えている。中華民国全国工業総会(工総、CNFI)は7日、▽毎月の残業時間上限の46時間から60時間への引き上げ▽所定休日の時間外勤務手当は中小企業で通常の2倍、上場・店頭公開企業で2.5倍とする▽所定休日の時間外勤務手当は実質労働時間に応じて計算し、4時間単位で計算しない▽有給休暇(特別休暇)の繰り越しを認め労使交渉で決定する▽7日間連続勤務の禁止規定を業界に応じて緩和する──の5項目の提言を行った。
林美珠労働部長は同日、法改正の可能性について質問され、「引き続き意見を集めている」との立場を示し、以前の否定一点張りの姿勢を変化させた印象を与えた。ただ、改めて法改正となれば、「一例一休は失政だった」とのイメージが定着してしまうため、施副院長は新たな法解釈で対応する考えを示したとみられる。
早めに後継者確定
頼行政院長は8日午前の就任式の後、「経済を発展させ人民に福利をもたらす、実際の事をやる内閣として全力で取り組み、結果を出す」との談話を発表した。
自由時報によると、蔡総統は林全・前行政院長が6月に辞任を表明した後、自身と関係の良い陳菊高雄市長を後任の第一候補にしたものの、陳市長が健康問題で固辞した結果、既に民進党次期リーダーとして最も声望が高い頼氏を選んだとされる。頼氏の手腕によって政権浮揚を図るとともに、2020年の次期総統選に「蔡・頼」の正副総統候補ペアで出馬することを念頭に、早めに後継者として確定させたとみられている。
一方、20年の総統選では、頼氏の方が民進党候補者としてふさわしいとの声が独立色の強い層を中心に挙がっている。独立派系のシンクタンク、新台湾国策智庫(台湾ブレイントラスト、TBT)が7月に行ったアンケート調査では、民進党の総統選候補者にふさわしい人物として頼氏は38.2%と蔡総統の20.8%を大きく上回った。
潜在的な競争関係
民進党の蔡其昌立法院副院長は、「蔡総統と頼行政院長は性格が合わない」と証言する。普段連絡を取ることもあまりなかったようで、「1人が辛いものを食べなければ、2人で一緒に麻辣鍋を食べには行かない」と両者の関係を例えた。20年に向けて、両者は潜在的な競争関係にあるともいえる。早めの候補者決定が必ずしも良い結果を生むとは限らず、特に新内閣の政策遂行がうまくいかない場合、蔡氏と頼氏の関係に摩擦が生じないかは一つの観察指標だ。
ただ、頼氏には、蔡氏との関係で自制すれば、24年には確実に総統選候補者になれるとの計算も成り立つ。
蔡総統(左2)は、頼氏(左3)の行政院長就任発表の際、産業構造の転換加速など「7大任務」を命じている。蔡政権の政策執行者との役割を明確化する狙いがあったとみられる(8日=中央社)
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