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阿羅哈客運のバス事故、シートベルトの有無が生死分ける


ニュース 社会 作成日:2017年9月13日_記事番号:T00072850

阿羅哈客運のバス事故、シートベルトの有無が生死分ける

 高雄市岡山区の中山高速公路(国道1号)で11日夜、阿羅哈客運の高速バスが道路内側のガードレールに衝突し、車外に投げ出された6人が死亡した事故で、死亡者全員がシートベルトを着用していなかったことが明らかとなった。同様の事故は2月にも起きており、大型バスの乗客に対するシートベルト着用義務化に向けた法整備の遅れを批判する声が上がっている。

/date/2017/09/13/18kakomi_2.jpg犠牲者の遺族らが事故現場で死者の冥福を祈った。悲劇によってシートベルトの大切さが教えられた(12日=中央社)

 阿羅哈客運のバスは、高速道路を走行中、突然失速して左側のガードレールや門型道路標識の支柱にぶつかり横転。そのまま115メートルほど滑って停止した。事故発生時、車体が激しく揺れたことでシートベルトを着用していなかった乗客男性3人、女性3人が車外に投げ出されて死亡した。シートベルトを着用していた乗客の大部分は軽傷で済んだため、警察はベルトを着用していたか否かが生死を分けたと推測している。

 なお現行の法律では大型バスの場合、運転席と横並びの座席、前後部のドアおよび非常口後方の座席、最後列真ん中の座席のみシートベルト着用が義務付けられており、それ以外の席は着用が強制されない。

 ただ今年2月、北宜高速公路(国道5号)南港ジャンクション(JCT、台北市南港区)で観光バスが横転し、33人が死亡する事故が発生した際にも、死亡者の多くがシートベルトを着用していなかったために車外に投げ出されていたことが分かり、乗客全員に着用を義務付けるべきとの声が高まっていた。

 しかしその後、法整備は進まず、10月になってようやく改正法が立法院で可決される見通しとなる中で今回の事故が発生。与野党の立法委員からは「政府は責任を取るべき」など非難の声が出ている。

 法整備の遅れについて交通部は、大型バスのシートベルト着用義務化に向けた「汽車運輸業管理規則」の改正ついては既に条文が固まっているが、条文1項目ごとに改正手続きを行うのは効率が悪く、他の条文と合わせて改正を進めているためと弁明した。

 また同時に「道路交通管理処罰条例」の改正を進め、乗客にシートベルトを着用させていないバス会社に対し、一般道で1,500台湾元、高速・快速道路で3,000~6,000元の罰金が課す方針だが、こちらは来年春節(旧正月)前後の施行が見込まれるため、初期は罰則がなく、指導のみにとどまることになりそうだ。

 なお車両研究測試センター(ARTC)の統計によると、交通事故発生時、シートベルト未着用者の死亡率は着用者の3.6倍に上るとの数字が出ており、高速バスでも横着せずに着用した方がよさそうだ。