ニュース 電子 作成日:2017年9月14日_記事番号:T00072874
スマートフォン10周年記念モデルiPhoneX(テン)を発表した米国時間12日、アップルの株価は前日比0.4%安で引けた。最上級モデルで1,149米ドルもの高価格、顔認証機能「Face ID」の使い勝手や個人情報リスクなどが嫌気されたようだ。台湾の通信キャリアからは「高過ぎる。どうやって売ればいいのか」との悲鳴も聞かれた。アンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホ陣営は、iPhoneXの影響は限定的で、iPhone8シリーズは前モデルと大差ないと安堵(あんど)した。一方、台湾のスマホ販売業者は、アップルは2万台湾元(約7万3,000円)以下まで値下げした前モデルiPhone7を含めた多機種のラインアップで、アンドロイド陣営に対抗する狙いだと分析した。14日付工商時報などが報じた。
iPhoneXの256GBモデルは、アップルのノートパソコン「マックブック」との価格差がわずか400元だ(アップルリリースより)
アップルの株価はiPhone10周年記念モデルへの期待感から年初来で39.4%上昇していたが、前日比0.4%安の160.86米ドルで引けた。新製品発表会の当日としては過去3番目の下落幅だった。
アップルが初めて有機EL(OLED)パネルを搭載するiPhoneXの発売日が11月3日と、iPhone8シリーズの9月22日より1カ月以上遅いことから、生産の難易度が高く、今年の業績に貢献しないと判断されたようだ。
また、iPhoneXに初めて搭載された顔認証機能「Face ID」は、顔全体と目を画面にしっかり向けなければ認証されず、指紋認証機能対応の「ホームボタン」に指を乗せるだけだったiPhone8シリーズまでと比べ、ユーザーが習慣を大きく変える必要があることも、売れ行きの不安要素だ。また、顔の特徴をアップルにデータとして提供することになったり、スマホ内の個人情報を不正に取得されやすくなるのではないかなど、懸念の声も上がっている。
14日付工商時報は、アップルは2014年以降、トレンドけん引力が落ち続けていると指摘した。電子時報は、2018年のiPhone販売台数の2桁成長は困難と報じた。
コアユーザーは「当然買う」
iPhoneXの本体価格は、容量64GB(ギガバイト)が3万5,900元、256GBが4万1,500元で過去最高だ。台湾の通信キャリアは、若者にとって月収約2カ月分に当たり、もはや本体ゼロ台湾元となる通信料金プランは打ち出せないなどと、不安をにじませた。
経済日報のインターネット調査では13日午後2時時点で、「iPhoneXを買う(10周年記念モデルだから・デザインとスペックが魅力的)」が約2,400票、「iPhone8シリーズの方が買いたい」が約2,600票となっている一方、「アンドロイドの最高機種2台と同じ価格だ」が約4,300票、「iPhoneは買わない」は約1,000票だ。アップルユーザー、アンドロイドユーザーのバランスを考えると、iPhoneXとiPhone8シリーズに対する反応はそれほど悪くないようだ。
インターネット上では、低価格スマホもiPhoneXの機能の7~8割を擁しているのに、価格差は10倍で買う価値が分からないとの声が上がり、これに対しコアなアップルファンが「ビニール袋とブランドバッグの違いだ」と反論した。新鋭デザイナーのダニエル・ウォン氏も、アップル製品は生活に不可欠で、なければ仕事にならないため、たとえ6万元でも購入すると語っている。
iPhone7値下げ、在庫に悲鳴
アップルは公式サイトで、前モデルiPhone7の容量32GBを1万9,900元、128GBを2万3,500元、iPhone7プラスの容量32GBを2万4,500元、128GBを2万8,100元に値下げした。現在、iPhone7は市場で2万1,000元前後で出回っており、在庫が残っている流通業者や販売業者は1,000万元以上の損失を被る可能性がある。
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