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日本時代の建築物活用、台中・台南で評価分かれる


ニュース 社会 作成日:2017年9月15日_記事番号:T00072903

日本時代の建築物活用、台中・台南で評価分かれる

 台湾には日本統治時代に建造された建物がいまだ数多く現存しているが、近年ではこれら歴史建築物をリフォームし、再利用する事例が相次いでいる。台中市と台南市でもこうした建物の再利用が行われているが、その活用方法をめぐり、両市の間で評価が分かれているようだ。

/date/2017/09/15/18kakomi_2.jpg櫟舎文学餐庁。こうした形で日本時代の記憶がつながっていくのはありがたいことだ(14日=中央社)

 台中市では1932年に建てられ、警察署長官舎として使用されていた建物の改修工事を進め、昨年8月に「台中文学館」として一般市民に開放。同施設の歴史や台中の文学史を紹介する常設展示や多様な企画展のほか、新書発表会や児童文学の読み聞かせイベントの会場としても活用されている。

 さらに同館ではきのう(14日)、6棟ある建物のうちの1棟に文学をテーマとするレストラン「櫟舎文学餐庁」がオープンした。台中市は日本時代、文学の中心地として知られたそうで、同レストランの名称は、中部を中心に活動した有力詩人クラブ「櫟社」から取られたという。

 同レストランでは、第2次世界大戦中の1943年に志願兵としていわゆる東南アジアへ派遣された詩人、陳千武にちなんだインドネシア料理「ナシクニン・セット」(280台湾元)や、日本時代から戦後にかけて活躍した小説家で、農業問題にも関心を寄せた楊逵にちなんだ野菜のキッシュ(220元)など台中市にゆかりのある作家をモチーフとするメニューが用意されおり、多くの市民の関心を呼んでいる。

 一方、台南市でもこのほど、日本時代の1900年前後に建造された旧台南庁知事官邸の修復工事が完了。9月16日~17日に一般向けに初公開される。来月からは最終週の土日に参観を開放する予定だが、平日は立ち入り禁止とし、台南市長が来賓を接待する際にのみ利用する方針で、周辺住民からは「税金の無駄遣い」との批判が上がっている。

 少なからず税金を投じてせっかくきれいに改装したのだから、より多くの人がその歴史的、文化的価値を感じられるような活用方法を見出してもらいたいものだ。