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記事番号:T00072959
2017年9月20日15:55

 業界関係者によると、IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は来年リリースするスマートフォン向け次世代プロセッサー「Helio P70(ヘリオP70)」でAI(人工知能)市場に参入する。アップルがiPhoneX(テン)に3D(3次元)センサーを使った顔認証機能「Face ID」を搭載したことで、来年より顔認証、虹彩認証機能を搭載するAIスマホが増えると予想される中、メディアテックはAIプロセッサーへの参入で成長軌道の回復を狙う。20日付工商時報が報じた。

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 業界関係者によると、メディアテックは既にニューラルネットワーク(神経回路網、NN)・ビジュアルプロセッシングユニット(NVPU)のAIプロセッサーコア設計を完了した。来年リリースするスマホ用プロセッサー「ヘリオP70」に初めてNVPUコアを搭載し、来年上半期にファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の12ナノメートル製造プロセスで生産する予定だ。後続の「ヘリオX」や「ヘリオP」シリーズにもNVPUコアを搭載する。

 業界関係者は、iPhoneXの3D顔認証機能「Face ID」により、アンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホでも3D顔認証機能の追随が相次ぐと予測した。3D顔認証機能は大量の画像処理が必要で、現在主流のARMアーキテクチャーのプロセッサーでは処理速度が不十分なため、スマホにAI演算コアが必要となる。

 アップルのiPhone8、iPhone8プラス、iPhoneXに搭載された新プロセッサー「A11バイオニック」には、毎秒最大6,000億件の演算処理ができる「ニューラルエンジン」が搭載されている。中国のスマホ大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)傘下の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)がリリースした「キリン970」はニュートラルネットワークプロセッシングユニット(NPU)を搭載し、毎分最大2,000枚の画像を処理できる。

 証券会社は、アップルやファーウェイのプロセッサーは自社用で、外販していないため、メディアテックがクアルコムに先んじて「ヘリオP70」をリリースできれば、市場シェアを奪回できると予測。今年6月にメディアテック共同執行長に就任した蔡力行氏(TSMC元執行長、中華電信前董事長)にとって、重要な任務だと指摘した。

中国シェア4割回復へ

 市場観測によると、メディアテックは「ヘリオP23」「ヘリオP30」が中国のスマホ大手、広東歩歩高電子工業(vivo)と広東欧珀移動通信(OPPO、オッポ)に採用され、両社の第4四半期のスマホ発売に伴い出荷が増える見通しだ。近くテープアウト(設計完了)する「ヘリオP40」もvivoから来年上半期分の大口受注を獲得した。OPPOとも商談中だ。

 サプライヤーは、vivoとOPPOからの受注だけで来年の中国市場シェアの30%近くを占めるほか、中堅メーカーからの受注も相次いでいることから、メディアテックの中国市場シェアは40%台を回復すると予測した。

 蔡共同執行長はTSMC執行長の経験があるため、ファウンドリーとの価格交渉を有利に進められるとみられている。証券会社は、来年の粗利益率は35~40%まで回復すると予測した。

【表】

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