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iPhone8発売、売れ行き過去10年で最低


ニュース 電子 作成日:2017年9月25日_記事番号:T00073036

iPhone8発売、売れ行き過去10年で最低

 アップルのスマートフォン新機種、iPhone8シリーズが発売された23日、台湾北部の販売店の行列は昨年の半分、一部店舗で初日に異例の5%引きがみられるなど、iPhone発売以来の過去10年で売れ行きが最も低調だった。通信キャリア大手3社は1週目の販売台数は8万台足らずと予測した。販売低調は、11月発売の10周年モデルiPhoneX待ちの様子見が一因だが、iPhoneXは生産の難易度が高く、部品の調達予定を6割下方修正したとの情報がある。iPhone8とXを合わせれば販売台数は過去最高と予想されているものの、台湾サプライチェーンの売上高ピークは例年より後ずれが必至だ。25日付電子時報などが報じた。

/date/2017/09/25/01iPhone_2.jpg中華電信のショップ(台北市信義区)の22日午前6時半の様子(22日=中央社)

 今年7月に台北市信義区の台北101ビル1階にオープンしたアップル直営店「アップルストア」台湾1号店をはじめ、台湾各地の通信キャリアのショップやアップル製品取扱店では同日、それほど盛り上がりが見られなかった。iPhone7の新色ジェットブラックを求めて50時間の行列ができた昨年とは対象的だ。台北市の2大販売店は5%引きを実施し、iPhone8プラス(容量32GB)販売価格が2万4,000台湾元(約8万9,000円)を割り込むなど、発売初日に異例の値引きもみられた。蘋果日報が取材した台中市や高雄市の6店では前夜からの行列もなく、ベテラン店員は「過去10年で最も売れない発売日だ」と話した。

/date/2017/09/25/01apple_2.jpgアップルストアの来店1人目は、予約していた2台を受け取り、うれしそうな表情を見せた(22日=中央社)

 通信キャリアは、台湾ではiPhoneX購入予定者の方が多いためで、大手3社の1週目のiPhone8シリーズ販売台数は7万~8万台と予想した。iPhone8シリーズは年内の供給量が十分で、通信キャリア5社でアップルに30万台近く発注しているとみられている。

来年2月まで購買意欲持続か

 通信キャリア大手、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)の鄭智衡営銷長は、iPhone8シリーズかiPhoneXかどちらを買うか決めかねているアップルファンもおり、iPhone8シリーズとiPhoneXを合わせれば、販売台数はiPhone7シリーズを上回り、過去最高となると予測した。

 台湾大哥大(台湾モバイル)の谷元宏商務長は、発売日が遅いiPhoneXのおかげで売れる期間が長くなり、もし供給量が十分あれば、来年の春節(旧正月、2018年は2月16日)まで購買意欲が続くと予想した。

 iPhone修理業者は、早速iPhone8プラスを分解したが、背面ガラス採用とワイヤレス充電機能くらいしかiPhone7プラスとの違いがないので、買い換えるなら新味が感じられるiPhoneXを勧めると話した。

Xは販売量より「技術力の象徴」

 あるサプライヤーの関係者は、アップルが新モデル発表日の1週間前に、iPhoneXの一部部品の出荷を、従来求めていた量より6割減らすようサプライヤーに通知したと明かした。iPhoneXは生産の難易度が高く、歩留まり率が低いため、たとえ出荷が6割減となっても、サプライヤーはアップルの出荷量の要望に応えるため、生産を急いでいる状況だという。

 関係者は、電子業界では部品不足を回避するため、最終製品メーカーがまず多めに要望するのはよくあることと説明した。ただアップルの場合は他社と異なり、最終的には部品の大部分を使い切ると話した。

 別の業界関係者は、iPhoneXはアップルの技術力をアピールするための存在で、販売台数を追求しているわけでないと分析した。その上で、アップルは従来1モデルしか発売していなかったが、2014年にiPhone5cとiPhone5sの2モデルを発売してから複数モデルを同時に発売するようになっており、現状では以前のモデルも販売していると説明。売れ行きは、新モデルだけでなくiPhone全モデルを合わせた販売台数で判断すべきと指摘した。

サプライヤーの株価下落

 鴻海精密工業、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、台湾のサプライチェーンの株価は発売当日、軒並み下落した。カメラレンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)は前日比335元の下落となった。

 証券会社は、11月3日のiPhoneX発売後も年内は供給不足が続き、サプライチェーンの売上高ピークは例年より遅くなると予測した。iPhoneは例年9月に発表、発売されたことから、サプライチェーンの売上高は8月が底で、9月に急増し、11月まで好調が続き、クリスマスシーズン向け出荷終了で12月は非需要期入りするパターンだった。