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頼行政院長、就任後初の施政方針演説


ニュース 政治 作成日:2017年9月26日_記事番号:T00073083

頼行政院長、就任後初の施政方針演説

 頼清徳行政院長は26日、立法院で就任後初の施政方針演説を行い、「清廉、勤政、郷土愛という信念と実務的で穏健な行動で、国と市民に利する政策を推進し、国家を大きく前進させていきたい」などと強調した上で、政府主導の賃上げをはじめとする6項目の具体的措置や5項目の施政目標を表明した。ただ、一例一休(週休2日制)の制度見直し論には突っ込んだ言及はなかった。

/date/2017/09/26/18lai_2.jpg頼行政院長の施政方針演説の前には、国民党の立法委員が「前瞻基礎建設計画」を抗議する一幕もあった(26日=中央社)

6項目の具体的措置

 頼行政院長は▽個人消費の刺激▽公共事業の拡大▽民間投資の促進▽民間資本の公共事業への参入奨励▽経済のモデルチェンジ▽経済発展の加速──に向け、6項目の具体的措置を講じるとした。

 具体的措置としては、▽政府主導による賃上げ▽税制の最適化▽台湾への投資誘致▽法令緩和▽大型インフラ整備計画「前瞻基礎建設計画」の加速▽「5プラス2創新産業政策」の継続推進──を挙げた。

 政府主導による賃上げをめぐっては、既に来年度予算案に公務員給与の3%引き上げを盛り込んでおり、頼行政院長は「政府が賃上げの先頭に立ち、企業の賃上げを促すことで、国民全体の賃金を上昇させ、景気を刺激し、内需を拡大し、経済成長への好循環を目指したい」と述べた。

 税制改革では、所得税法改正で給与所得者、中低所得者の税負担軽減を図るとともに、中小企業や新興企業の税負担も引き下げていくとした。

 また、産業界から要望がある一例一休については、「立法委員の貴重な意見を聴き、修正プランを提出することで、安全かつ柔軟性ある労働制度を構築したい」と述べるにとどまり「労働基準法(労基法)改正」に踏み込んだ言及はなかった。

5項目の施政目標

 頼行政院長はさらに、5項目の施政目標として、▽文化台湾▽グリーンエネルギー・シリコンアイランド(緑能矽島)▽スマート国家▽公義社会▽幸福な家庭(幸福家園)──を掲げた。

 文化台湾への取り組みでは、「客家基本法」改正で客家語の「国家言語の一つ」としての地位を確立するとした。

 グリーンエネルギー関連では、「脱原発」「省エネ」を目指し、「太陽光発電2カ年計画」「風力発電4カ年計画」、バイオガス発電などを推進していくことを提唱。スマート送電網の整備やごみ処理の多元化にも取り組むとした。

 スマート国家の実現に向けては、「デジタル国家・創新経済発展方案」の実施で、半導体産業の優位を基盤とし、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータなどで生活の質的向上や政府の行政効率アップを図っていくとした。

 公義社会では年金改革、司法改革、税制改革、移行期の正義(転型正義)の実現に引き続き取り組み、社会公平正義の促進と国家の永続的発展の確保を図るとした。また、同性婚については、大法官の解釈を踏まえ、社会の共通認識を形成し、婚姻の平等の具体的実現に向けた合理的方策を探るとした。

 幸福な家庭をめぐっては、少子化の進行に対応し、子育てしやすい環境づくり、若い親たちの経済負担軽減、社会住宅(賃貸専用の公営住宅)を利用した居住問題の改善などに取り組んでいくとした。

 中台政策については、共通点を探り、対立点は残しておく「求同存異」を掲げ、「対抗よりも協力、包囲よりも交流を進めたい」などと表明したが、演説内容に占める割合は少なかった。