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TSMC3ナノ工場、南科に決定


ニュース 電子 作成日:2017年9月30日_記事番号:T00073175

TSMC3ナノ工場、南科に決定

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は29日、3ナノメートル製造プロセスの新工場の建設地を南部科学工業園区(南科)台南園区に決定したと発表した。米国進出の市場観測も流れたが、TSMCは台湾政府が投資環境の改善を約束したことを受け、既存のサプライチェーン(供給網)を有効活用できる南科を選択した。設備業者の予想では投資額は200億米ドル以上と、台湾ハイテク業界で過去最大規模となる見通し。TSMCの最先進プロセス台湾投資には、サプライヤーの海外流出を防ぎ、産業集積を促進する効果も期待されている。30日付経済日報などが報じた。

/date/2017/09/30/00tsmc_2.jpg頼清徳行政院長(中)は、張忠謀(モリス・チャン)TSMC董事長が気に掛けている水、電力、用地の問題は必ず解決すると強調した(29日=中央社)

 TSMCは南科3ナノ新工場に関連し、台湾政府が用地、用水、電力供給、環境などの問題解決を約束したことに感謝すると表明した。新竹科学工業園区(竹科)でなく南科を選んだ理由についてTSMCは、既存の5ナノ工場の隣で、経済効率がよいためと説明した。投資額は未公表だが、経済部は5,000億台湾元(約1兆8,500億円)以上と予想している。用地面積は40ヘクタールとみられている。

 TSMCの3ナノ新工場の建設地決定が数カ月早まったことで、設備業者の予測では、量産開始予定は2022年と従来予想より1年早まる見通しだ。3ナノでは主にEUV(極端紫外線)リソグラフィー技術を採用する予定だ。アップルのプロセッサー受注を争うサムスン電子や、先進プロセスを競うインテルを、大幅にリードできそうだ。

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 TSMCは現在、南科に12インチウエハー工場、8インチ工場、台南市に先進パッケージング・テスティング(封止・検査)第2工場がある。20ナノプロセスと16ナノプロセス生産の中心で、今後は5ナノプロセスと3ナノプロセスが加わる。TSMCは他に、竹科、中部科学工業園区(中科)、桃園市に工場があり、中国の南京市でも12インチ工場の建設を進めている。

AI商機に照準

 沈栄津経済部長は、TSMCは世界最大のファウンドリーで、昨年売上高は9,479億元に上ると指摘。南科での3ナノ新工場設置で、TSMCのサプライチェーンがさらに充実し、台湾での半導体産業クラスター形成にも貢献すると述べた。

 陳良基科技部長は、TSMCは台南工場があるので3ナノ新工場のコストを2~3割削減できると指摘。ハイテク産業は集積効果が重要だが、半導体メモリー大手の華邦電子(ウインボンド・エレクトロニクス)も南科高雄園区(高雄市路竹区)で12インチ工場を設置する計画を発表したところだと語った。

 また陳科技部長は、TSMCが3ナノプロセス量産を予定している22年は人工知能(AI)応用製品が急増する見通しで、それまでの4~5年は台湾産業界がAI研究開発(R&D)に参入する絶好のチャンスだと話した。

超高圧変電所を増設

 林威呈南科管理局長は、TSMCは22年量産を予定しており、そのためには20年までに環境影響評価(環境アセスメント)の審査を完了しなければならず、用地は決まったが、水、電力、汚水処理問題などは時間が差し迫っていると述べた。

 行政院環境保護署(環保署)の詹順貴副署長は、5月に南科の問題点を確認済みで、事前に解決できれば、環境影響評価の審査は4~6カ月で完了すると述べた。

 経済部は、台湾電力(台電、TPC)が南科に超高圧変電所を建設すると説明した。水に関しては、再生水、海水淡水化、農業用水などを活用して需要に応えるとした。TSMCは3ナノ新工場のために電力125万キロワット(kW)の利用を申請したとされる。

【表】