ニュース 社会 作成日:2017年9月30日_記事番号:T00073183
台湾では無料対話アプリの「LINE(ライン)」が広く普及しており、企業でも社内の連絡などに利用するケースが増えている一方で、トラブルも起きている。総経理が送ったメッセージを確認するのが遅かったとの理由で解雇された従業員が起こした裁判で、裁判所はこのほど、解雇は違法との判断を下した。
新北市で薬局4店を展開する威安生活事業の林威成総経理は昨年2月4日の夜、業務を分担しようと考え、社内のLINEグループを通じてメッセージを送信した。グループのメンバーが次々と「既読」となる中、当日夜勤に当たっていた永和店の副店長は確認が遅れ、既読になるのが一番最後になってしまった。
これに不満を抱いた総経理は副店長に対し、「副店長でありながら既読が最後になるとは何ごとか」と怒りのメッセージを送り付け、その数時間後にはLINEグループで、副店長を一般店員に格下げすると発表した。
翌朝、この元副店長は林総経理に対し「人手が少なくて業務が忙しかったため、すぐにLINEを見ることができなかった」と釈明するメッセージを送ったが、同月16日に本社で総経理と面談を行った後、業務に不適任との理由で3月末付で解雇を言い渡されてしまった。
元副店長の月給は8万台湾元余りだったが、解雇を通告された後の3月15日に労働部労工保険局(労保局)で自分のデータを確認したところ、会社は保険料を低く抑えるため、彼の月給を3万8,000元と申告していたことが発覚した。このため、会社が労働基準法(労基法)に違反して労働契約を終了させたとして、解雇手当など73万元の支払いと、自己都合退職ではないと記載した証明書を発行するよう求めて同社を提訴した。
会社側は裁判で、元副店長は勤務態度が悪く、何度も注意したが改善されず、面談の結果、自己都合での退職に同意したと主張した。給与については月給2万8,000元の契約で、その他の項目は奨励金に当たると説明した。
裁判官は、会社が元副店長に注意を行ったが、改善を拒まれたとの証拠を提出できなかったと指摘。一方、元副店長が提出したLINEメッセージの記録から、同社が一方的に解雇したことが証明されたため、解雇は違法と判断。会社が元副店長に59万元余りの解雇手当や有給休暇の未消化分の3万元など計65万元を支払い、および自己都合退職ではないと記載した離職証明書を発行するよう命じた。
社内でのLINE利用は、手軽でスピーディーなどのメリットもあるが、従業員の業務の状況を考慮せずに「既読が遅い」との理由だけで解雇した今回のケースはあまりに一方的だったと言えそうだ。
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