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TSMCの受注満杯、車載用ICが半導体の新主戦場に


ニュース 電子 作成日:2017年10月2日_記事番号:T00073185

TSMCの受注満杯、車載用ICが半導体の新主戦場に

 市場観測によると、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、車載用IC大手のインフィニオン・テクノロジーズ、NXPセミコンダクターズからの受注が好調で、南部科学工業園区(南科)の12インチウエハー工場Fab14(月産能力20万枚)がフル稼働となっている。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及、パーキングアシストシステムなど自動車の電子化(カーエレクトロニクス)に伴い、自動車1台に搭載されるICチップは2000年の10個から10倍以上に増えており、20年には1,000個に急増する見通しだ。自動車市場は今やノートパソコンやスマートフォンに続く、半導体メーカーの主戦場となっている。2日付経済日報が報じた。

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 TSMCの南科12インチ工場は、40ナノ、65ナノ、90ナノメートル製造プロセスの特殊工程を提供し、主な顧客はインフィニオン、NXP、NXP傘下のフリースケール・セミコンダクター、オン・セミコンダクターなどの車載用IC、産業用制御ICメーカーだ。

 インフィニオンは、今後数年、電気自動車やハイブリッド車に同社の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用されると見込んでいる。NXPは先進運転支援システム(ADAS)チップに注力しており、来年チップに人工知能(AI)機能を搭載する見通しだ。両社の今年の業績好調から、車載用ICや産業用制御ICの強い需要がうかがえる。

 TSMCの8月連結売上高は919億1,700万台湾元(約3,400億円)で前月比28.4%増、前年同月比2.5%減だった。アップルの新プロセッサー「A11」や聯発科技(メディアテック)、エヌビディア向け出荷が貢献した。9月の「A11」の出荷ピークが過ぎても、車載用ICや産業用制御IC需要が貢献する見通しで、証券会社は、TSMCの第4四半期売上高は前期を上回り、通年で過去最高を更新すると予測した。

メディアテックなどが受注へ

 車載用IC市場で台湾メーカーは遅れを取っているものの、▽メディアテック▽瑞昱半導体(リアルテック・セミコンダクター)▽凌陽科技(サンプラス・テクノロジー)▽偉詮電子(ウェルトレンド・セミコンダクター)──などがこの2年で、自動車産業向けの品質マネジメントシステム(QMS)技術仕様「ISO/TS 16949」や米国車載用電子部品評議会(AEC)の認定基準「AEC-Q100」を取得した。

 市場観測によると、メディアテックはドイツ自動車部品大手のコンチネンタルから見積依頼書(RFQ)を受け取り、来年下半期に向け準備しているところだ。メディアテックは、▽ADAS▽ミリ波レーダー▽車載インフォテインメント(情報・娯楽)システム(IVI)▽車載情報システム(CIS)──を主なターゲットに定めている。

 リアルテックは、ネットワークカメラ(IPカメラ)カム、イーサネット、原相科技(ピクスアート・イメージング)はジェスチャーコントロールを手掛けている。

 ノートPCやスマートフォンは大幅な機能向上が一段落し、成長の踊り場に入ったが、今年は多くの種類の電子部品が大幅な供給不足になっている。これは、アラウンドビューモニター(AVM)などのアクティブパーキングアシスト(APA)、定速走行・車間距離制御装置(ACC)、自動運転・運転支援システムなど自動車の電子化が原因だ。しかも自動車は、3C(コンピュータ、通信、家電)製品よりも高価格で、製品の寿命が長いため、部品メーカー同士の競争は激しい。

【図】