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記事番号:T00073321
2017年10月12日15:18

 行政院公平交易委員会(公平会、公正取引委に相当)は11日、携帯電話用半導体大手の米クアルコムに対し、公平交易法(独占禁止法に相当)違反で、課徴金234億台湾元(約870億円)を科すと発表した。同会による罰金額としては過去最高。ベースバンドチップ市場の独占的地位を乱用し、競合メーカーへの特許ライセンス供与を実質行わず、市場から聯発科技(メディアテック)などの締め出しを図ったこと、宏達国際電子(HTC)など携帯電話メーカーに対し、ライセンス契約締結をチップ供給の条件としたことなどが公正な市場競争を妨げ、7年にわたり台湾企業20社以上に影響を及ぼしたと認定した。12日付経済日報などが報じた。

/date/2017/10/12/00qualcom_2.jpg公平会の彭副主任委員(左2)は、一部内容は営業秘密に触れるので明かせないが、課徴金納付命令によって不公正な競争をなくしたいと語った(11日=中央社)

 クアルコムは、CDMA、W-CDMA、LTEなどモバイル通信のベースバンドチップ市場で独占的地位にあり、重要な特許を保有している。公平会はクアルコムに対し、▽競合メーカーに対し、特許ライセンス供与を回避するため、お互いに訴訟を起こさない契約をライセンス供与の条件としたこと▽携帯電話メーカーに対し、ライセンス契約締結(ライセンス料の支払い)をチップ供給の条件としたこと▽独占的取引をライセンス料割引の条件としたこと──などの行為を停止するよう命じた。

 クアルコムは過去7年以上にわたり、台湾企業にベースバンドチップ300億米ドル以上を販売し、台湾企業からライセンス料4,000億元以上を受け取った。公平会の彭紹瑾副主任委員は、通常の独占行為は課徴金の上限が5,000万元だが、事態を重くみてクアルコムに課徴金234億元を科すことを決めたと説明した。

 クアルコムは今後、競合や携帯電話メーカーとの間の契約を是正し、公平会に報告しなければならない。

ライセンス料是正か

 メディアテックは、詳細が不明なため、コメントできないとした。HTCと華碩電脳(ASUS)も、サプライヤーや顧客については原則コメントしないと説明した。

 12日付経済日報は、クアルコムにとって課徴金の金額自体は問題ではないが、今後、チップでなく端末の出荷価格の5%とするクアルコムのライセンス料の計算方法が変更されれば、アップル、サムスン電子、HTCなど携帯電話メーカーは携帯電話の製造コストが低下すると指摘した。

 クアルコムは中国当局から2015年に60億8,800万人民元(約1,030億円)、韓国の競争当局から16年に1兆300億ウォン(約1,020億円)の課徴金を科されている。欧州連合(EU)もクアルコムを競争法違反で調査している。また、アップルが今年1月に米国でクアルコムに対し、ライセンス料の計算基準を端末の価格でなく、チップの価格とするべきとして、10億米ドルの返還を求めて提訴した。アップルを顧客とする鴻海精密工業、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、和碩聯合科技(ペガトロン)、緯創資通(ウィストロン)も7月に米国で、クアルコムのライセンス料は高過ぎるとして提訴していた。

台湾産業に悪影響懸念

 クアルコムへの高額の課徴金納付命令について杜紫宸・工業技術研究院(工研院)元主任はフェイスブック(FB)で、▽携帯電話ブランドがクアルコムからメディアテックにチップ調達先を変えるとは考えがたい▽クアルコムが台湾積体電路製造(TSMC)や日月光半導体製造(ASE)に生産やパッケージング・テスティング(封止・検査)を委託しなくなる恐れがある▽台湾のIC設計会社や華碩電脳(ASUS)は中国以外で生産し、米国以外に販売するのでなければ、依然クアルコムにライセンス料を支払わなければならない──などと指摘。さらに、中国や欧州と違って台湾の市場規模は小さいため、クアルコムへの重罰は台湾メーカーにとって「百害あって一利なし」との見方を示した。

 クアルコムは、蔡英文政権が推進する「アジア・シリコンバレー計画」や5G(第5世代移動通信システム)技術実験室などに参画しており、政府はメディアテックよりクアルコムを重視していると批判の声が出るほどだった。経済部技術処の羅達生処長は、クアルコムとの提携関係に恐らく影響はないと述べた。

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