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自動車製造業が衰退危機、生産額11年で17%減


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2017年10月16日_記事番号:T00073381

自動車製造業が衰退危機、生産額11年で17%減

 台湾域内の自動車製造業が、衰退の危機を迎えている。台湾区車両工業同業公会(車両公会、TTVMA)によると、2016年の生産額は1,906億台湾元(約7,100億円)で、過去11年で17.5%減少した。世界貿易機関(WTO)加盟後の完成車の関税低下で現地生産のメリットが縮小、輸入車のシェアが拡大した結果だ。協力メーカーを含む業界の就業者数は計2万1,000人減少しており、先行きが不安視されている。16日付経済日報などが報じた。

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 車両公会の統計によると、台湾の自動車生産台数はピークだった05年の44万6,345台から昨年は30万9,522台と30.7%減少。また、交通部の統計によると、台湾生産車の新車販売台数は05年の44万4,470台から昨年は26万5,141台と40%減少し、市場全体に占める割合も05年の86.37%から60.32%まで縮小した。

 これに対し輸入車の販売台数は05年の7万157台(シェア13.63%)から、昨年は17万4,444台(39.68%)に急増。今年9月には過去最高の47.8%に達し、台湾で売れる自動車のほぼ2台に1台は輸入車という状況となった。

 台湾生産車の落ち込みは、01年のWTO加盟後、完成車の輸入関税が30%から17.5%まで低下し、輸入車との価格差が縮小、台湾生産のメリットが低くなったことが最大の要因だ。近年の台湾元高で価格差がさらに縮まった中、輸入車は書面審査のみで台湾市場に投入できる一方、台湾生産車は16万キロメートルの耐久走行、24時間連続走行など各種試験が義務付けられ、発売まで少なくとも2年間を要する。そして、そこまでコストをかけても台湾市場は規模が小さい。

 販売店関係者は、貧富の差の拡大により中流階級がなくなり、富裕層は輸入車を購入し、低所得者層が購入する台湾生産車は平均保有年数が延びていることも、台湾生産車の低迷要因として挙げた。

相次ぐ生産撤退

 こうした中、マツダが近年、全面輸入に切り替えた他、ホンダのアコードやフォードのモンデオなども台湾生産を取りやめている。未稼働の生産ラインが増えたことで、生産能力の過剰問題も深刻化している。昨年の業界全体の生産能力は昨年70万台規模で、過去11年で8.4%しか減っておらず、生産台数の減少幅を大きく下回っている。

 台湾生産であっても、重要部品を含めほとんどの部品を海外から輸入し、組み立てだけを台湾で行っている車種も多く、台湾の自動車サプライチェーンへの貢献度も低下している。

投資を拡大する企業も

 ただ、逆風の中でも、トヨタ車の生産を手掛ける国瑞汽車やフォード、裕隆集団は、競争力の強化を目指して生産設備への投資を拡大している。

 国瑞汽車は今後2年間で30億元を投じ、大型設備を導入して品質や生産効率の向上を図る。フォードは16年からの5カ年計画で、45億元を投じて生産設備の更新やスマート化、新製品の生産を行う。

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