裕隆集団の厳凱泰執行長(CEO)は8日、グループが約20年ぶりに復活させる自社ブランドの名称を「LUXGEN」に決定したと明らかにした。同ブランド初の車となる7人乗り2,200ccの高級MPV(多目的車)は、早ければ年内に台湾で発売し、中国でも遅くとも来年末までに投入する方針だ。9日付経済日報と工商時報が厳執行長へのインタビューとして報じた。
自社ブランドは使命
厳執行長は、自社ブランドへの参入について、「自動車メーカーが必ず進むべき道で、私の使命だ」と強調。十分な財務およびリスク評価を行っており、仮に満足のいく結果とならなくても、裕隆を根本から揺るがすような事態にはならないと説明した。
LUXGENという名称は、「Luxury」と「Genius」を掛け合わせたもので、高級感、独自性を重視し、消費者に価格以上の満足感を与えることを目指す。
初のMPVには、仏マトラ社が以前「エスケープ」向けに開発したシャーシのライセンスを購入して、裕隆でモデルチェンジしたものを採用している。裕隆集団で開発した周囲360度の視認システムや夜間視認システム、車道逸脱を警告するシステム、車間距離制御システムなど、先進的なカーエレクトロニクスを配備する。販売価格は80万~100万台湾元(約270万円~337万円)で、GMビュイックGL8、ホンダ・オデッセイ、フォードS-MAX、トヨタ・プレビアなどをライバル車種として想定している。
杭州蕭山に生産拠点
厳執行長は、年間800万台規模の中国市場を好感しており、「ブランドを展開するのは今が絶好の時期で、これを逃せばもうチャンスはない」と語る。現在、中国では海外ブランドと国産ブランドの間に一定の差が存在するが、3~5年でその差はなくなるという見方に基づいて「LUXGEN」の投入を決めた。
中国では、広州風神汽車や東南汽車で合弁事業を展開してきた広東省や福建省ではなく、浙江省杭州市蕭山にLUXGENの生産拠点を設ける。これについて厳執行長は、▽高品質の部品メーカーが集まる大上海地区に近い▽浙江省は人口が多く豊かで内需が期待できる▽蕭山には「中国のデトロイト」として発展を目指す計画がある──と3点の理由を挙げた。
販社も立ち上げ
LUXGEN車の販売は、裕隆集団傘下の台元紡織が主体となって行う。中国では浙江中誉控股集団との合弁で46億5,000万人民元(約689億円)を出資し、販売会社の「納智捷汽車(杭州)」を立ち上げる。一方、台湾でも5億~8億元で智捷汽車を設立し、台元が20%を出資する。同社は厳執行長自身が董事長を兼任する。