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電力料金、25年段階で2割引き上げへ


ニュース 公益 作成日:2017年10月19日_記事番号:T00073456

電力料金、25年段階で2割引き上げへ

 沈栄津経済部長は18日、2025年に(自然エネルギーによる)グリーンエネルギー電源構成20%を達成した段階で、電力料金を1キロワット時(kWh)当たり0.5台湾元(約19円)引き上げると初めて表明した。上げ幅は約2割。台湾政府は25年の脱原発を目標としている。台塑集団(台湾プラスチックグループ)の王文淵(ウィリアム・ウォン)総裁は、石炭火力発電でも現代の技術なら(環境汚染物質の排出が少ない)クリーンエネルギーにできるし経済効率もよいと指摘し、過度な電力料金引き上げは産業界に打撃を与えると訴えた。19日付工商時報などが報じた。

/date/2017/10/19/00ele_2.jpg沈経済部長は、電力料金引き上げを「脱原発の代償」と言わないでほしいと語った(18日=中央社)

 電力料金は現在、1kWh当たり平均2.5元のため、3元に引き上げれば上げ幅は2割だ。李世光・前経済部長が言及していた1割余りより大きい。

 沈経済部長は同日の立法院経済委員会で、25年に電力料金を1kWh当たり0.5元引き上げても、月330kWh以下の一般家庭向け電力料金は据え置くとも述べた。これに対し経済部能源局(エネルギー局)は、発電コスト増加分の負担を330kWh以上の電力利用者と産業用の電力利用者で分け合うと説明した。

 沈経済部長はまた、電力料金の計算方法は燃料コスト、運営管理費などを基にしており、空気汚染防制費(大気汚染費)を反映させるかは電気料金審議委員会が決定すると説明した。行政院環境保護署(環保署)は来年4月から、工場など固定汚染源を対象に空気汚染防制費を引き上げる方針で、台湾電力(台電、TPC)の年間支出が3億~5億元増加するため、電力料金へのコスト転嫁が予想されていた。能源局は11月上旬に電気料金審議委員会を開催する予定だ。

 政府の25年電源構成目標は▽天然ガス(LNG)火力発電、50%▽石炭火力発電、30%▽グリーンエネルギー、20%──。現在は、▽石炭火力発電、36.9%▽天然ガス火力発電、36%▽原子力発電、13.5%▽再生可能エネルギー、5.1%──など。

「石炭でもクリーンエネ可能」

 台プラグループの王総裁は、現在石炭火力による発電コストは1kWh当たり1元余りにすぎない上、技術的にクリーンエネルギー基準を満たすことが可能で、世界各国で電源構成の最多を占めていると指摘した。環境保護と経済発展のバランスを考え、石炭火力発電を単に悪者にするのでなく、海外を参考にして先進技術での石炭火力発電を奨励するよう政府に対し呼び掛けた。台プラグループの資料によると、各国の15年の石炭火力発電電力量の構成比は中国が70%、台湾が46%で、ドイツ、韓国、オランダ、米国、日本などが33~44%の間だ。

 王総裁はまた、政府が推進する太陽光発電や風力発電は気候や地理的な制限があり、発電コストも高いと指摘した。風力発電の場合、TPCの買取価格は1kWh当たり6元以上で、これにメンテナンスや送配電、送配電損失率を加えなければならない。TPCの産業用電力料金は平均3元なので、このままでは大幅な赤字で、電力料金にコストを転嫁した場合、産業界や一般家庭に大きな負担となると訴えた。

 王総裁は、固定汚染源への空気汚染防制費の引き上げ方針に対しても政府に慎重な対応を呼び掛けた。環保署の統計によると、PM2.5(微小粒子状物質)発生源は、自動車やバイクなどが36%、海外からの流入が27%を占め、発電所は2.9%にすぎない。